私は決して茶化しているわけではありません。本気で書いています。お酒を注いで回る、敬意を表する云々という類の努力を、もっと意図的にすべきだったのです。今ならわかります。トップ成績に奢ることなく、常に先輩たちを敬い、必死で自分を売り込む努力、それこそが人間力を磨く大切な経験なのだと思います。

評価される努力は、人間性や社会性を高めるためにも必要

「そこまでやる必要があるのか?」と感じる人もいることでしょう。そんな媚びを売るようなことよりも、仕事で結果を出すことのほうが大事じゃないか、と。しかし、先ほども申し上げたように、「業績だけで誰からも高評価を得られるとは限らない」のです。評価を高めようとすることは、媚びを売ることとは違います。評価されるための努力は、人に好かれる技術を身につけることと同じなのです。

 さらに言えば、どんなに理不尽な評価をされても、ストレスに影響されず、仕事でパフォーマンスを維持し、会社に貢献し続けられるのであれば、そこまでする必要はありません。ただし、評価へのストレスでモチベーションが下がり、実際の仕事でパフォーマンスが落ちるようなことが生じるのであれば、そこまですべきなのです。

 どこまで私の真意が伝わっているか、少々不安な部分もありますが、「”ええかげん”評価を逆手に取る」というやり方は、自分自身を磨くためにも、人間性、社会性をより磨くためにも本当に必要な努力なのです。

 では、その具体策にはどのようなものがあるのでしょうか。評価制度の仕組みから考えれば、それぞれの評価項目の採点を引き上げるための傾向と対策が中心になるはずです。もちろん、それは必要なことですが、”ええかげん”評価への対策としては不十分と言わざるを得ません。ここが理論と実践の違いです。

”ええかげん”評価は、その名の通り、ええかげんなものなのです。正攻法で頑張るだけでは、評価項目に忠実に採点しない評価エラーを克服することはできません。

 物事にはコインのように必ず表と裏があります。”ええかげん”評価にも表と裏があります。”ええかげん”評価は過小評価ばかりではありません。過大評価もあるわけです。それを意図的に引き起こすのです。

常に笑顔を絶やさず、第一印象をガラリと変える

 仕事っぷりの事実測定で評価すべきところを、「好印象か悪印象か」という評価者個人の感覚で判断し、評価エラーを起こしてしまうのが印象評価です。ということは、当たり前のようですが、好印象を持ってもらえれば高い評価を得られる可能性があるということです。

 そのための即効性のある方法は、見た目の第一印象を意識することです。見た目の第一印象を意識する努力は、働く上でとても大切なことだからです。第一印象を意識する努力は人間磨きのひとつになり得ます。また、人としての総合力を磨く努力にもつながっています。決して姑息な努力ではないのです。