「攻撃」と「防御」の攻略が勝敗を分ける
参入障壁を境に、「攻撃する」「防御する」の2つのアクションが、いかに効果的であるかがビジネスの勝敗を分けるのです。ここで、5つの競争要因が浮かび上がります。
【ポーターの指摘】
「効果的な競争戦略とは、5つの競争要因ごとに防衛可能な地位をつくり出すために、攻撃あるいは防御のアクションを打つことなのである」(土岐坤他訳『競争の戦略』より)
【5つの競争要因(ファイブ・フォース)】
(1)新規参入企業
(2)代替品
(3)供給業者
(4)買い手
(5)競争業者
ポーターの言葉から、彼が定義する5つの競争要因は、主に現時点のポジションが「どのように防御(攻略)可能であるか」をわかりやすく分析する、発想の起点と考えることができます。
【攻撃するときの5つの競争要因】
(1)「新規参入」が容易になる状態をつくり上げる
(2)「代替品」として既存品に置き換わる
(3)「供給業者」と他社の関係を破壊する
(4)「買い手」を新たな商品に誘導する
(5)「競争業者」の優位性を破壊する
【防衛するときの5つの競争要因】
(1)「新規参入」が難しい状態をつくり上げる
(2)「代替品」がない独自性を追求する
(3)「供給業者」と特別な関係を築く
(4)「買い手」が浮気できない状態にする
(5)「競争業者」への優位性を維持する
このように見ると、5つの競争要因が「攻撃」と「防御」の起点としてヒントになることがわかります。ロブスター漁では、零細漁民が低コストで新規参入を阻止し、タイメックス社は、逆に低価格と新たな流通経路で、腕時計業界への攻撃に成功したのです。