本音を聞き出すことで何が変わるのか?

 いよいよ28の心理術です。コミュニケーション術の決定版と言っても過言でありません。その根本にあるのは、「人間が一番興味があるのは人間」(29P)です。

 だから、「好きな人が自分をどう思っているのか?」「自分がどのような評価をされているか」など、相手の思い・考えが気になります。相手に興味があるから、気になってしようがないのです。

 ただし、本音がすべていいものとは限りません。著者の凄いところは、ネガティブな本音を聞いたとき、人間関係を好転させる方法を身につけていること。また、同じことを言うにしても、言い回しを変えるだけで相手の受け取り方がよくなる術を持っているのです。「23.質問しないは無関心である確率が高い」(188P)では、逆境に立たされたときの解決法を指南しています。

 結論として、「嘘」「ホラ」「お世辞」「建前」と「本音」で話すときの言動の違いを把握しているので、それを応用したコミュニケーションをとっているのです。これが、「著者はなぜ、自分だけの情報を得ているのか?」の答えにもつながるのです。

 その違いを一瞬で判断する例をご紹介したいと思います。「4.建前とお世辞は『どこが~?』と聞けばすぐわかる」(101P)です。

 以前、松浦亜弥さんが主演した舞台を観に行ったとき、終演後に彼女のところへあいさつに行きました。「いや~、よかったよ」と伝えた瞬間、間髪を入れず
「どこがよかったですか?」
と聞かれたことがありました。
 僕の言った「よかった」は、漠然としたものでした。そこへ彼女が「どこが」と質問をしてきたことに、驚きさえ覚えました。芸能人のこんな反応は初めてで、感心したことも記憶しています。
 自分で納得していないからこそ、「よかった」と言われたときに、“どこがよかったのか”を確認したかったんでしょう。建前よりも本音が聞きたいという松浦さんの姿勢に、向上心の高さを見せつけられました。(101、102Pから抜粋)

 この出来事とは別に、相手の本気度をチェックする方法もありますので、ぜひ、本書を手に取っていただければと思います。