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「組織は多角化していないほどマネジメントしやすい」(『マネジメント【エッセンシャル版】』)
単純であれば明快である。全員が自らの仕事を理解し、自らの仕事と全体の業績との関係を知りうる。活動を集中できる。
ところが長いあいだ、多角化しさえすれば業績が上がると信じられてきた。
うまくいかなくなりそうなものは、いずれうまくいかなくなるという“マーフィの法則”がある。だが、事態が複雑な場合には、加えて“ドラッカーの法則”と呼ぶべきものが働く。なにかがうまくいかなくなると、すべてがうまくいかなくなる。しかも同時に。
トップが事業の現実、経営環境、顧客、技術を自らの目で見て、知り、理解することができなくなり、報告、数字、データなど抽象的なものに頼るようになったとき、組織は複雑になり過ぎ、マネジメントできなくなったと見てよい。
それでは、多角化への信奉を説明するものは何か。じつは最高の業績の企業が単一市場や単一技術の企業であったと同様に、最悪の業績の企業もまた、単一市場や単一技術の企業だったのである。
「多角化には適切なものと不適切なものがある。適切な多角化は、適切な事業に特化した単一市場や単一技術の企業に並ぶ業績をもたらす。不適切な多角化は、不適切な事業に特化した単一市場や単一技術の企業並みの業績しかもたらさない」(『マネジメント【エッセンシャル版】』)