ただ、職員のリストラは厳しい。河合塾のように、高校や大学への営業力が強ければ営業先の学校から声もかかることがあるだろう。現に、名古屋地区では河合塾出身の大学職員がいないところのほうが珍しい。ところが、代ゼミ出身の大学職員はあまり耳にしない。大学関係者に聞いても、「河合塾はもちろん、ベネッセ、進研アド、リクルート、年長者では旺文社を経て、大学職員になって活躍している人は何人もいますが、代ゼミと駿台は聞かないですね」と返ってくる。

 同業の予備校への転職も考えられなくもないが、こちらはさらに厳しい。

 なぜならば、この40歳以上という層は、予備校が全国展開をしていった頃に就職した人たちであり、大量採用時代の職員だからである。

 1984年から92年のピークに向けて、予備校業界では「ゴールデンセブン」(現実にはエイト)と言われた18歳人口の大幅増加期があった。共通1次試験の実施で模擬試験の需要が増したことと相まって、予備校は全国規模での校舎展開を始めた。それゆえに、職員の大量採用がなされたのだ。河合塾もあと10年もすればこの世代が定年を迎えるので、随分と身軽になるはずだが、現状では余剰人員を抱えており、早期退職制度はもちろん再就職支援もなされている。

ごとう・たけお
教育ジャーナリスト。大学卒業後、河合塾に就職。その後、独立して、有名大学等のAO入試の開発、入試分析・設計、情報センター設立等をコンサルティング。早稲田大学法科大学院設立に参加。元東京工科大学広報課長、入試課長。現在「大学ジャーナル」編集委員、「読む進学.com 大学進学」編集長、Pearson Japan K.K 高等教育部門顧問。Photo by Jun Abe

 こういった状況ゆえに、同業者への転職は厳しい。私も、いち早く代ゼミのリストラ情報を手にしていた予備校関係者から「職員でいい人がいたら紹介してください」とは言われているが、余程の実績と実力がなければ採用に至らないだろう。

 だからこそ今回のリストラを非常に心配している。中高年での無業は若年者のそれより経済的にも社会的にも厳しい。

 学校を含めた教育関連は少子化により業界全体が斜陽である。他の業界で職を探すことになるだろうが、現実は厳しい。リストラされた講師、職員のみなさんが再就職先を早く見つけられることを祈っている。

 最後に。

 代ゼミは「私大文系」からの撤退を目指している。これに習って高校も変わろうとし始めるだろう。でも、一番必要なことは「私大文系」そのものが変わることである。

 さて、変わりきれるか、私大文系。
 今、そのことが本当は問われているのだ。

※第4回は9月8日(月)公開予定です。