米国に工場を建設する中国企業は増える

 アメリカでの工場建設にかかった約1.1億ドルは中国国内ならば6000万ドルほどで済んだかもしれない。人件費も中国国内より高く、一般の労働者は中国だと毎月の賃金が2500~3000元だが、アメリカではこの6倍に相当する2000~2500ドルになってしまう。しかし、金龍にとって、全体の生産コストに占める人件費の割合はそれほど高くない。アメリカ市場でよく求められている内面溝付銅管などの生産コストに占める人件費の割合は1%に満たない。一方、工場稼働後は多くのコストが中国国内よりも安くなる。

 例えば、金龍の生産にかかる最大のコストは銅などの原料費である。南米チリには世界最大の銅鉱があり、南米からアメリカに原料を輸送するのは、中国への輸送費よりも安い。また、生産にかかる大きなコストとして、他には電力などの燃料費があるが、アメリカの現地の電気料金は中国国内よりも1キロワット時あたり0.20元安い。

 さらに、中国の輸出製品に対するアメリカの反ダンピングが熾烈さを増し、中国の労働コストも次第に優位性を失っていく。またオバマ政府が推進する「製造業回帰」のもと、アメリカの各地の州政府もまた雇用創出のために外資誘致の優遇政策などを進めている。こうして総合判断した結果、金龍集団がアメリカ進出に踏み切る決断を下したのである。

 ハイアールや金龍集団の影響を受け、アメリカに工場を建設する中国企業がこれからもっと増えていくだろうと思う。