意外や初の五輪金メダル獲得競技
第1次ブームは天皇皇后両陛下がきっかけ

 このところ落ち着いていたテニス人気も盛り上がるに違いない。

 錦織が勝ち進むことによって、日本テニス界の輝かしい歴史に光が当てられた。全米では96年前にベスト4まで進出した熊谷一弥氏、92年前にベスト8まで行った清水善造氏、4大大会では70年ほど前にウインブルドン、全仏、全豪の5大会でベスト4に進出した佐藤次郎氏の功績が紹介された。

 日本人がオリンピックで初めてメダルを獲得した競技もテニスだ。1920年アントワープ五輪で熊谷一弥氏がシングルス、ダブルス(ペアを組んだのは柏尾誠一郎氏)とも銀メダルを獲得したのが最初。昔から五輪でメダルを量産してきた体操や水泳が日本のお家芸というイメージがあるが、メダル第1号はテニスだったのだ。

 だが、当時は今ほどメダリストが脚光を浴びることはなかったし、テニスも庶民には縁遠いスポーツだったため、ブームにはならなかった。

 第1次テニスブームが起きたのは1959年。現在の天皇・皇后両陛下がテニスを通じて出会ったことから多くの人がテニスをプレーすることに憧れ、各地にコートが作られるようになる。

 この熱気を下地に、さらに多くの人がテニスに親しむようになったのが1970年代だ。まず少女マンガ「エースをねらえ!」が大ヒットする。続いて1975年にはウインブルドン選手権女子ダブルスで沢松和子・アン清村ペアが優勝。テニスに注目が集まった。

 また、この時期はジミー・コナーズ、ビョルン・ボルグ、ジョン・マッケンロー、女子ではクリス・エバートといった人気選手が覇を競い合い、テニス熱が一気に盛り上がった。高度経済成長による好景気もあってコートの整備が進み、誰もが気軽にテニスをプレーするようになる。これが第2次テニスブーム。日本でテニスがポピュラーなスポーツになった最も大きなブームといえる。

 しかし、人気選手が引退していくにつれて熱気も沈静化。バブル崩壊後の不景気もあってブームは去った。それが再燃するのが2000年代に入った頃だ。マンガ「テニスの王子様」がヒットし、若い層がテニスに注目するようになる。また、第1次、第2次のブームでテニスを始めた層がリタイヤの時期を迎え、再びプレーするようにもなった。これが第3次ブーム。ただし、静かなブームだ。