子どもの語彙(ごい)を増やす
「6つ」の方法(その1)

(1)「家族旅行」や「外遊び」で「感じる心」を育てる

 国語のテストで問われる「物語の情景」や「人の気持ち」は、さまざまな「原体験」を積むことで、はじめて理解できるようになります。そのためには、「外遊び」や「家族旅行」がオススメです。

「知識」として言葉を覚えるのではなく、経験の中で「体感覚」をともないながら、意味を理解する。そうすれば、文章中の見えない描写をイメージできるようになります。たとえば、

「夏の終わりの早朝、露をおいた草の上に座れば、お尻が濡れる」

という文章を読んだとき、実際に「お尻を濡らした体験」がない子どもは、知識の域を出ることができません。「へぇ〜、そういうものなんだぁ…」で終わりです。

 ですが、実際の「原体験」がある子どもは、「あれか〜」と、「自分のお尻が濡れたとき」のことを思い出して、豊かな連想力を働かせることができるでしょう。

 言葉の源にあるのは、実際の「原体験」です。実際の「原体験」を言葉にする練習を積むと、「表現の正確さ」「説得力」「描写力」を高めることができます。

「国語力」は、子どもが経験の中で主体的に勝ち取る部分が大きいので、親は子どもに、たくさんの旅行や外遊びをさせてほしいと思います。
「実際に、体で経験して、それを自分の言葉で言語化する」
 その繰り返しこそが、国語力を育む近道です。

(2)見たこと、感じたことを「比喩(ひゆ)」で表現する

「比喩」が使えるようになると、表現に奥行きが出ます。

「もみじがキレイ」と表現するより、
「燃えるような、紅(くれない)のもみじ」

と表現したほうが、赤々とした色彩を印象的に伝えることができます。

 比喩表現は、慣用句として暗記するだけでは、なかなか使えるようにはなりません。比喩表現が使えるようになるには、親がお手本を見せてあげるといいでしょう。

「実際の景色を見たとき(体験したとき)」に、
「○○のような、△△」
という表現を親が使ってみせるのがいちばんです。

「こういうときは『水を打ったような静けさ』っていうのよ」
「こういうときは『抜けるような青さ』っていうのよ」

 すると子どもは、「何かにたとえると、表現に深みと味わいが加わる」ことを理解しやすくなると思います。

(3)子どもの疑問にきちんと答える

 とくに小学校低学年までの子どもは、見聞きする言葉に、強い興味を抱いています。
「それ、なに?」「あれ、どういうこと?」「これ、どういう意味?」と子どもが質問してきたら、きちんと答えてあげてください。

 家事をしているときに、あれこれ聞かれると、「忙しいのに、ヘンなこと聞かないでよ」と突っぱねたくなる気持ちもわかります。
 でも親は、子どもの好奇心に水を差してはいけません。子どもの「どうして?」には、真剣に付き合ってあげましょう。

 もちろん、親にだって、答えられないことがあると思います。そんなときは、「どういうことだろうねぇ? お母さんにもわからないなぁ。じゃあ、一緒に調べようか」とか、「あとで調べて教えてあげるね」と返事をして、子どものやる気につなげてあげてください。