戦後になり日本人が豊かになると国内での消費が増えはじめる。冷凍技術の進化を背景に世界中のマグロが築地に集まるようになった。

 マグロをはじめ『魚離れ』を水産庁の人は喧伝するが、ここ数年をのぞいて魚の国内消費自体は割に堅調に推移している。ここ数年の減少は経済的な理由によるものもあるだろう。

 大きく変わったのは消費の割合だ。かつて、家庭で消費されていた魚は、外食など外で食べるものになった。例えば一昔前ならこんなに回転寿司は多くなかったから、実感として理解できる。

 今回、規制が検討されたクロマグロは高級寿司の世界の花形だ。以前、ある北海道の寿司屋が東京に進出したのだが、その理由は「築地からマグロを仕入れるため」だそうだ。いいマグロを仕入れるためには仲買との付き合いが必要で、そのための東京進出だという。

 マグロは本来的には東京(江戸)の文化だ。関西人の魯山人は「まぐろは下品で食通を満足させるものではない」と言っているが、他の地方ではいいマグロは手に入らない。関西では秋に規制の対象になったヨコワ(幼魚)を食べる習慣があるものの、マグロは珍重されてこなかった。今は関西でもマグロは人気だ。戦後のメディアの発達などにともない東京の文化が全国に広まり、さらには回転寿司などの普及があいまって、マグロは日本中で食べられるようになったのではないだろうか。

海外のレストランは「マグロ外し」へ
日本の料理人は“持続可能性”を考えているか

 マグロ資源が枯渇しかけていることは前述したが、僕が気になっているのは寿司店だけではなく飲食店の動きが鈍いことだ。

 国外ではレストランのメニューからマグロを外す動きがある。世界57ヵ国の高級ホテル・レストラン475軒が加盟する組織「ルレ・エ・シャトー協会」は2011年に加盟している飲食店やホテルのメニューからクロマグロを外すように要請しているし、有名シェフのアラン・デュカスも資源量が充分にある魚にフォーカスしたレストランを計画しているそうだが、食文化を守り、また楽しむ上で持続可能性は無視できなくなってきている。