そこで、糖質を下げるために、本来酒には使用しない添加物などが使われていることがある。発泡酒やその他の発泡性酒類(スピリッツ等)は、ビールと違って、すべての添加物が使用できる。典型的なのが、スピリッツやリキュールである。

 糖質とプリン体、世界初2つのゼロが売り文句の発泡酒、サッポロ・極ゼロは、発泡酒の原材料である麦芽、ホップ、大麦の他に、苦味料、カラメル色素、スピリッツ、水溶性食物繊維、エンドウたんぱく抽出物、香料、酸味料、安定剤(アルギン酸エステル)、甘味料(アセスルファムK)が使われている。

 一方、同じサッポロの発泡酒で北海道生搾りは、100gあたり糖質が3.2g、プリン体が約3.4mg含まれているが、原材料は、麦芽とホップ、大麦、糖類だけである。つまり、2つ(糖質とプリン体)をゼロにしようとすれば、代わりに酒には似合わない添加物や原材料が目白押しになるのである。

 人工甘味料の危険性については、ダイヤモンド・オンライン2013年9月30日から5回にわたって掲載された「カロリーゼロにだまされるな~本当は怖い人工甘味料の裏側~」に詳しく述べられているので参考にしていただきたいが、簡単に言えば「たとえカロリーがゼロであっても、人工甘味料は肥満や糖尿病の原因になる恐れがある」ということである。

 カラメル色素(注(1))は、コーラなどに使われる着色料だが、発がん性物質が含まれている可能性が高い添加物だ。苦味料以降はすべて添加物だが、酒に9種類もの添加物が使われている。一部の発泡酒に使われている加工デンプン(注(2))も、発がん性物質が含まれている可能性がある添加物である。化学調味料の調味料(アミノ酸)や加工デンプンは、いずれも加工食品によく使われる添加物である。原材料だけ見ていると、酒類というより加工食品のようである。

 プリン体や糖質の代わりに、発がん性物質入りの可能性のある添加物や、肥満や糖尿病の原因の恐れのある添加物など、余計な添加物や原材料を摂取する「トレードオフ」(一方を追求し他方を犠牲にすること)は、健康にとってマイナスはあってもプラスにはならない。

 糖質を減らすもう一つの方法が「酵母エキス」を使うことだ。酵母エキスは、酵母といっても酒を醸造(発酵)するときに使うわけではない。酒になった後に、味付けとして使うものである。添加物ではなく食品に分類されるが、調味料である。

 調味料を使わなければならないのは、やはり「糖質を減らすと味が落ちる」という証拠であろう。酒本来の味でない添加物や調味料で補わないと売り物にならないということだ。メーカーは「おいしい糖質オフ」、「本当にうまい糖質ゼロ」と味の良さを強調するが、それが添加物や調味料の味だとすると、いかにも情けない。

 酒本来の糖質の代わりに添加物や調味料を食べるというのも、何か釈然としない。「酒に人工甘味料や調味料を入れるのは邪道」のような気もするが……。

注(1):カラメル色素
 砂糖を焦がして作るカラメルと違って、工業的に製造されるカラメル色素は、製法の違いでI、II、III、IVの4種類がある。アンモニア化合物を加えて作るIIIとIVには、発がん性物質の疑いのある4-メチルイミダゾールが含まれている。日本ではIIは生産されておらず、IもわずかでIIIとIVの生産量が圧倒的に多いと言われている。調味料や飲料、菓子などの加工食品に非常に多く使われているが、簡略名しか表示されないので、どの種類なのかを見分けることはできない。

注(2)加工でん粉
 加工でん粉に指定されている物質は11種類ある。EUでは動物試験で腎臓に変化があった9種類について乳幼児向け食品に5%の使用期限を設けている。ヒドロキシプロピルデンプンとヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの2種類には、遺伝毒性発がん性物質の疑いのあるプロピレンオキシドが残存する可能性がある。米国でも製造基準や残留基準が規定されているが、日本ではどの物質も規制されていない。加工でん粉は簡略名なのでどの物質が含まれているのかはわからない。