(1)マーケットサイズは固定ではなく、
企業の振る舞い(戦略)で変化する

 近年、市場の大きさは固定的で企業はそのパイをライバルと単に奪い合うだけという発想が蔓延しているように感じます。すでに読者の方も気付いていると思いますが、市場すなわちマーケットの大きさは、実際には企業の振る舞いで劇的に変化します。

 市場が縮小しているとは、すなわち企業側の振る舞いが現在の消費者のニーズと一致しなくなったことを意味します。一方で毎年20%近い売上高増を記録している日本企業も多数存在していますが、それらの企業の行動が市場を拡大する要素を持っているからです。

 いわゆる製品ライフサイクル曲線では、栄枯盛衰が以下の4つの段階で描かれています。

1.導入期
2.成長期
3.成熟期
4.衰退期

 では、あらゆる企業が同じ運命を辿るのかといえば、そんなことはありません。企業は複雑な要素で構成されており、商品や組織構造、基本戦略などを更新していくことが可能な存在だからです。

 企業の選択次第でライフサイクルの曲線を凌駕することができるのです。逆にいえば、製品ライフサイクル曲線のような運命を辿る企業は、その振る舞いが典型的な形に陥ったからこそ、一般的な運命の曲線をなぞるようになるのです。

 戦略は、多くの企業でライフサイクル曲線を超越するために使われています。マーケットサイズが企業側の振る舞いで変化するのであれば、私たちはどのような行動を選択すればいいのでしょうか。そのヒントこそ、数多くの戦略から私たちがいま学ぶべき点の一つだといえるのです。