エボラに苦しむ3ヵ国に
共通するのは「紛争後」

――エボラ出血熱について、三大感染症でも苦しんできた西アフリカで蔓延しています。貧困層に病気が蔓延しているという報道もあり、先ほどの保健や支援サービスにアクセスできない人々が苦しむという、三大感染症と同様の構図になるのでしょうか。

 実際には、貧困がエボラ出血熱を蔓延させているということは言えません。シエラレオネ、リベリア、ギニアの3ヵ国に共通するのは、「紛争後」であるということです。

 したがって、保健制度は非常に弱い。貧困というよりは、紛争後で保健制度が整っていないということのほうが、蔓延の要因としては大きいのです。

 かつてはエボラは農村部で見られ病気でした。しかし、今は都市部で多く発生しています。それは人口の移動がかつてよりもあるからでしょう。

 ナイジェリアのラゴスでは、エボラ対策で非常に高い効果を上げています。ラゴスは世界でもまれに見る複雑な都市。しかし、エボラの封じ込めに成功しています。ウガンダも昨年は1例だけで、封じ込めている。ガボンでは定期的にエボラが発生しますが、封じ込めました。

 これらの国には保健システムが作られています。3ヵ国がこれらの国と大きく違うのは、やはり紛争後で国の保健システムそのものが弱いということです。

――具体的に、3ヵ国の保健システムでは現時点で何が必要なのでしょうか。

 コミュニティヘルスケアワーカー、いわゆる地域社会において保健に従事する人たちに対する教育制度を確立しなければならない。また物品がクリニックにきちんと届くのか。緊急時の情報の通報制度が確立されているかどうか。これらが大事な点です。

 今はエボラという新興感染症に注目が集まっていて、この対策のために保健制度の確立が重要だということを言いましたが、この対策自体は三大感染症対策にも重要なことです。

 しかし、HIV/エイズは毎年200万人の死者が出ており、まだ危機的な状況だと表現できます。マラリアは60万人の子ども、病気にかかる人は世界で数億人もの数になります。結核も年間100万人以上がかかっています。

 エボラのように目先の緊急性はないですが、三大感染症は重大な感染症であることに変わりはない。保健制度の確立はエボラの流行のような緊急時の対応、三大感染症や他の感染症対策のための長期的な対応の、どちらにも非常に大事なシステムです。人間の安全保障という視点でも、欠かせないものです。