Q.一企業の研究者として青色LED(発光ダイオード)を発明した中村修二・カリフォルニア大学教授がノーベル物理学賞を受賞しました。いま、自社の社員が発明した技術に関する特許を、雇用している会社に帰属させるための特許法改正が議論されています。
 堀江さんはこうした職務発明に関わる特許を社員個人、もしくは会社のどちらに帰属させるべきとお考えですか?

後になって揉めないよう、会社と研究者が早めに契約を結ぶこと

A.どちらに一方に帰属させるかという0か1かの議論がナンセンス。これについては、社員が入社するときに、会社との契約で決めればいいことだと思います。
 もちろん社員にしてみればノーリスクで100%権利を貰いたいというのが本音でしょう。
 けれど、すでに実績ある研究者ならともかく、普通の新入社員が通常の給料を貰いつつ、一方で権利のすべてを貰うというのは、かなり無理な条件であることは、誰にでもわかることです。また、入社時に決めた契約をずっと継続させるというのも硬直的。
 だから、ある時点で実績を出したら、そのときに会社と再び契約交渉をすればいい。もしかしたら、他の会社から好条件のオファーがあるかもしれない。
 そういう意味では中村教授は言わば“なあなあ”な雰囲気に浸っていたんだよね。そうしたら急に手のひらを返されたということ。
 会社にとっても、きちんと取り分の契約を結んでいた方が、あとあと揉めることもなくて、社員も気持よく働いてくれるわけだから、研究職を多く抱える会社は今すぐにでも社員との契約を結ぶべきでしょう。