この有識者会議が設置されることになったきっかけには、この連載で度々取り上げてきた2011年の東日本大震災で児童・教職員84人が亡くなった宮城県石巻市立大川小学校の事後対応の問題がある。学校や市教委による説明が二転三転したり、何ヵ月も説明会が開かれないなど、我が子に起きた出来事を「知りたい」と思う親たちの気持ちを無視するような対応が続いた。遺族の中に教育委員会に対する深刻な不信感が生まれ、真相究明を求める声が高まっていった。

 大川小の事故検証委員会(室崎益輝委員長)も、この事後対応の問題を取り上げた。

 今年2月にまとめられた最終報告の中には、文科省に向けた提言もあり、学校事故や災害の被災者・遺族支援に関するガイドラインの策定(提言21)、事故の調査・検証のためのガイドラインの作成(提言23)等が、事後対応の問題に触れたものだった。

 これらの提言と、2012年に京都市立小で起きたプール事故(体育活動中の事故)や2013年に調布市立小で起きた給食中の死亡事故(食物アレルギー事故)の事例を踏まえて設置されたのが、この有識者会議である。

調査しない、重要な事実を隠ぺい
遺族や被害者側で深まる学校への不信感

 学校管理下で事故・災害が起きた際、学校や教育委員会、学校法人といった学校設置者は、遺族や被害者側に、経緯や背景を詳細に説明することが必要だ。

 そうした説明は本来なら当然のことだが、実際には、調査しない、調査しても遺族や家族・被害者に開示しない、開示しても調査内容の重要な部分を隠して原因を曖昧にさせる、といった対応が繰り返されている。学校が主体的に真相究明に取り組まず、組織防衛や学校正常化を優先させようとしたために、遺族・被害者の不信感が深まっていった例が数多くある。

 第三者による調査委員会や検証委員会の設置にこぎつけても、検証の仕組みそのものが新たな軋轢を生み出す例も、遺族団体や弁護士団体主催のシンポジウム等で度々報告されている。