教科書通りに100%実行する

川上:ここまで正確にポーターを追求しているとは、すごいですね。星野さんが教科書にこだわる理由は何ですか?

星野:私が参考にする教科書の多くは、米国のビジネススクールで教える教授陣が書いたものです。彼らは、たくさんの企業事例を調査し、そこから法則を見つけて理論として体系化しています。つまり、教科書に書かれていることは「経営の定石」なんです。

川上:理論は“つまみ食い”しないことが肝心だともおっしゃっていますね。

星野:はい。最も重要なのは、この教科書と決めたら100%教科書に書いてある通りにやってみることです。すべてを忠実にやっていくのです。3つの対策が必要だと書いてあるのに、2つしかやらない。これでは理論の効力がないと僕は思っています。

川上:「教科書通り」にやる一番のメリットは何ですか?

星野:経営で“苦しくなったとき”に耐えられることです。教科書通りの戦略を打ってもなかなか成果が出ないこともあります。自分の直感が信じられないときも、「教科書通りにやっているんだ」という自信があるから耐えられるんです。教科書通りにやるというのは、時間も労力もお金もかかりますが、私が過去に選んだすべての教科書は、様々な経営判断の場面でいずれも役に立ちました。(続く)

※次回は、11月21日(金)に掲載いたします。