目に見える物があれば、人は信頼してくれる

 私がケニア・ナッツをそれなりに大きくできたのも、「つくれば、人はやってくる」と信じてやってきたからです。

 実際に目に見える物がつくられて動き始めるまで人は信用しません。逆にいえば、動き始めれば信用してくれるのです。農家の人は一生懸命に良質なナッツを育ててくれるようになる。工場のスタッフにも、優秀な人材が集まるようになる。実際につくってしまえば、物事はうまく回り始めます。

 みなさんも、そうではありませんか。

 たとえば、友達が「脱サラしてラーメン屋になるんだ」「海辺に家を建てるんだ」と熱っぽく語ったとしましょう。きっと、みなさんは内心多少気になりつつも、「本当にやるのかなあ」と半信半疑でしょう。ところが、友達が本当に仕事を辞め、店舗を借りて看板を描き始めたらどうでしょう。海辺に土地を購入したらどうでしょう。途端に「もしかして、本気なのか」と見る目が変わってくるはずです。

 人は、目で見えて手で触れる物を前にするまで、信じようとしません。

 それは、日本でも、アフリカでも、世界中どこでも変わりません。

 ですから、2012年から本格的にナッツ・ビジネスをスタートさせたルワンダ・ナッツ・カンパニーでも、私はやっぱり「つくれば、人はやってくる」をモットーに走り始めました。

 農園といっても、最初は草だらけ石だらけの土地。いくら声を大にして「ここ一面をナッツ畑にして、みんなで稼ごうじゃないか」と声をかけても、「ふーん」という感じで、様子見を決め込んでいるような反応。

「やっぱりな」予想通りでしたから、地面をならして、湖から畑に水を吸い上げるためのポンプを設置して、苗を植え……とどんどん形にしていきました。すると、それまでこっちをちらりと見ながらそばを通りすぎていくだけだった人たちが、チャンスを逃すまいと自分からやってくるようになったのです。