11ページ左下には、持ち家か賃貸か、公営賃貸かによる違いが示されている。光熱費は、持ち家(一戸建て)・民間賃貸住宅(設備専用)・借間で高くなる傾向がある。一戸建ての持ち家で光熱費が高くなるのは、生活保護受給にあたって保有を認められた住宅であることによっているのではないだろうか? それは「資産価値が低い」、すなわち「古く老朽化している可能性が高い」ということである。

 また光熱費は、民営賃貸住宅(設備共用)では低くなる傾向がある。しかし総数が少ない(0.2%)上に、寮のような特殊な住宅を含んでいる可能性もある。ここから「共用住宅なら安くなる」と考えることは行わないほうがよいと思われる。公営賃貸住宅・UR・後者等の賃貸住宅に関しては、サンプル数は十分と思われる。これらの住宅では、概して光熱費が安くつく傾向があり、民間賃貸住宅の概ね半分程度である。

 この点については、委員の園田眞理子氏が

「最初の住宅の質が保障されており、断熱性が高いと、あとでランニング(コスト)でかかる部分はそれほどでもなくなります」

「初期値の状態が良い状態をキープされていないのを、月々のお金で辻褄を合わせる構造になっています。『そもそも』が良くないと、月々の追い銭、フローが大きくなります。そういう関係にあることを前提において、どうするか議論する必要があるのでは?」

 という指摘を行った。園田氏は住宅扶助においても、

「(公営受託とURでは)一定の質のところに安い家賃で入居できます。住宅扶助はフローです。でも公営住宅は、別の形で税が投入されています。建設補助によって(住宅の)質が保障され、しかも税なので見える形の(月々の)住宅コストが減ります」

 と、結局は税の投入なくして「最低限」の保障はできないことを指摘している。さらに民間賃貸住宅との本質的な違いについて、

「公営住宅に入れている保護世帯は15%です。残りの85%は、民間賃貸住宅に住んでいます。(民間賃貸住宅は)建てられたときに税が入っていません。だから、フローで高い家賃を払わないと、大家さんが納得する家賃になりません」

 と、「生活保護の『住』はゼイタク」と流れがちな世論に釘を刺した。また、建築学者である自らが生活保護基準部会に参加していることについて、

「『何らかの形で困窮している人に対して、ボトムを保障するということであれば、お金がかかるんだ』ということを共有すべきだと思います。私としては、『厚労省の』住宅扶助(の検討)に参加しているつもりはありません。一国民として困窮した時に何が保障されているのかを議論したいです」

 と述べた。住宅政策や建築の実際を熟知し、公共のプロジェクトでも実績を上げてきた園田氏の発言には、今後も注目していきたい。

生活保護世帯の冬の暖房費、本当に3000円多い?<br />「ざっくり」すぎる冬季加算見直しの議論開会前、配布資料に熱心に目を通す岩田正美氏(部会長代理) Photo by Y.M.

 また、一連の集計に対して、部会長代理の岩田正美氏(日本女子大学教授・社会福祉学)からは、「エンゲル係数が高すぎるのでは?」という疑義が表明された。岩田氏は、厚労省側の事務局に対して丁寧に労をねぎらいつつ発言したのであるが、即座に筆者の脳内で「何かやらかしてない? 何かデータいじってない?」と変換された。いずれ、この集計内容も詳細に検討されるであろう。生活保護基準の成り行きに関心を持っている専門家は、生活保護基準部会の委員たちだけではない。