エス・エム・エス社長 諸藤周平
エス・エム・エス社長 諸藤周平

 2035年には、日本人の3人に1人は、65歳以上の高齢者が占めるようになる。こうした“超高齢社会”の到来をビジネスチャンスととらえた若き経営者がいる。

「50年、100年先まで続く、息の長い会社にしたい」――エス・エム・エス(SMS)社長の諸藤周平が、“シニア市場”に照準を合わせたのは、コネクションや知見があったわけではなく、なによりも事業領域の成長性を信じたからだった。

 SMSは、インターネットを通じて、介護・医療業界に特化した人材仲介ビジネスを展開している。ケアマネジャー(介護支援専門員)、ホームへルパー、医師、看護師、理学療法士――。介護・医療サービスに対する世の中のニーズが高まるなかで、こうした専門職に従事する人材は、慢性的に不足している。

 だが、いざ求職者が職場を探そうにも、介護・医療事業者が発信する求人情報は乏しく、「自宅の近隣で働きたい」「昼間だけ仕事をしたい」といった希望条件が満たされる職場がどこにあるのか、わかりにくい。事業者と求職者とのミスマッチこそが、人手不足を深刻化させている。

 事業者と求職者の橋渡しをする“情報インフラ”を提供する――。諸藤は、ここに商機を見出した。

設立4ヵ月で迎えた資金ショートの
危機を楽観主義が救った

 起業の意志を固めたのは、大学3年生のとき。時代は就職氷河期。大企業が崩れ落ちるように倒産していく姿を目の当たりにして、「就職できても、ぬくぬくとサラリーマン生活を送れるわけではない。