実際、花卉生産組合のメンバー15人のうち、13人が年金受給者である。年齢構成を見ると、40代が1人、60代が3人、70代が10人、80代が1人となっている。70代が主力で、最年長齢は85歳だという。定年退職後の70歳で組合に加入した小林正一さんである。

 高齢になってから花づくりを始めた小林さんは、「今やヒペリカムの栽培ではトップクラスだ」と師匠の石井さんは言う。どうやら師匠を追い抜いてしまったようだ。

 ではなぜ、南牧村で花栽培をするお年寄りが元気いっぱいなのだろうか。冬の日照時間が短く、寒暖の差が大きい南牧は、花の栽培に適していると言われている。花の色の鮮やかさが違うのである。狭い傾斜地を上り下りしながらの作業となる。それでも花は軽いので、高齢者にも扱える。細かな作業が中心で、外で長時間わたって力仕事をするというわけでもない。

同じ花でも市場によって値は変わる
稼ぎは自分の腕次第というやり甲斐

 こうした事情だけではなく、さらに重要な要素があるようだ。石井さんは笑いながらこんなことを言っていた。「花というのは、博打草なんです」。

 南牧村の花卉農家は、川崎北部市場など6つの市場に50品種もの花を出荷している。どの花をどの市場にどれくらい出荷するかは、各自の判断である。コメのように農協に出荷して、それでお仕舞いというものではない。

 それぞれの市場によって仕入れる花屋の特質やエリアは異なり、二―ズの高い花の種類も均一ではない。同じ花を出荷しても、市場によって値は大きく変わる。いつどこに何の花をどれだけ出荷するかで、実入りが大きく上下するのである。それらを全て自分で判断し、選択しなければならない。まさに自己責任である。稼ぎは自分の創意工夫や腕次第となっているのである。

 南牧花卉生産組合の石井清・前組合長は、「村の活性化ということで自分たちの持ち出しでイベントをやっても、負担になってしまって長続きしません。でも、自分がつくったものが東京などで売れてカネになると、目つきが変わります」と語る。

 やり甲斐があってしかも外貨をしっかり稼げることが、花卉栽培に取り組む高齢者の元気の源となっているようだ。一人ひとりの住民が活性化して初めて、村や町、地域の活性化といえるのではないだろうか。