株式上場をきっかけに、リスク管理と事業見通しの甘さが白日の下にさらされた「日の丸液晶」。販売単価下落が続く厳しい現状を、どう打破するのか。
10月31日。日銀の追加金融緩和で、日経平均株価が前日比755円高と、7年ぶりの高値を更新したこの日、市場の異様な熱気から隔離されたかのように、株価が年初来安値を更新した銘柄がある。
スマートフォン向けなどの中小型液晶の製造を手掛ける、ジャパンディスプレイ(JDI)だ。
政府系ファンドの産業革新機構が主導するかたちで、ソニーと日立製作所、東芝の液晶事業を統合し、2012年4月に事業を始めたJDIが、ここまで投資家から見放されたのは、その期待をことごとく裏切り続けてきたからだ。
中でも、マーケットへの「背信行為」として投資家たちの不興を買ったのが、今年4月28日の業績の下方修正だ。14年3月期の経常利益を従来予想の226億円から、193億円に15%引き下げるといったものだったが、内容以上に悪かったのが発表時期だった。
株式を上場してから、下方修正までわずか1カ月余りしかたっておらず、「上場前から分かっていたはずだ」「株価を上げようと粉飾でもしていたのではないか」と、あらぬ疑いを掛けられる事態を招いてしまったわけだ。
JDIは、事の経緯について「3月の終わりごろになって、急に顧客企業から出荷を一時的に止めてくれと要請があったり、中国企業から土壇場で3割という予想以上の値下げ要求があって、出荷を見合わせたりしたことが大きな要因」と説明している。
あくまで「想定外」「誤算」であり、外部要因だと主張したわけだが、果たして本当にそうだろうか。