反響をよび、開始2日目で目標金額を達成!

 そして森さんは、意を決し「渋谷に図書室をつくること」を決意しました。森さんの考えたお店のコンセプトは「渋谷に行ったときに気軽に立ち寄れる、仕事帰りでも立ち寄れる、飲みに行ったついでに本が借りられる。そんな図書室があったらいいな」というものです。森さん自身が常日頃感じていたことでもあります。そして、クラウドファンディングを利用しようと試みたのです。

目標額はたったの10万円でした。この頃はまさかここまで成功するプロジェクトだとはだれも思ってもみなかったでしょう。
しかし、10万円を目標にしたプロジェクトは、クラウドファンディングサイトに掲載してすぐに大きな反響を得たのでした。「たしかにこんな図書室があったらいい!」とたくさんの人に共感、支援されました。支援目標額はなんと2日目に達成してしまったのです。そして結果的には、目標額の95・3倍である9,530,000円の資金調達に成功しました。森さんの夢は十分すぎるほどにかなったのです。

 このような出来事が実際に身近に起こり始めているのです。ここにきてようやくクラウドファンディングは日本においても注目されてきています。

 本連載では、このクラウドファンディングを成功に導くための企画書の書き方から成功の秘訣、拡散の方法などのノウハウを日米で徹底取材をしてきている著者が徹底公開したいと思っております。

 次回は「クラウドファンディングでお金を集める目的と、お金以外に集まるもの」についてお届けしたいと思います。

板越ジョージ(いたごし・じょーじ)
グローバルラボ(Global Labo NY)代表。IS Group代表
1968年東京生まれ。高校卒業後、1988年に単身渡米。1995年に出版・広告業のITASHO AMERICAを設立。
7つの会社を経営し、資金調達を成功させ米NASDAQへ上場を試みるが2001年同時多発テロの影響で倒産。多額の借金を背負った。
現在は、アメリカに進出する企業や起業家へ会社設立や資金調達などのコンサルティングを行っている。
日米のクラウドファンディング事情に精通しているということで、特に最近はクラウドファンディングに関するコンサルティング依頼が急増している。
サウスカロライナ大学国際政治学部卒、中央大学ビジネススクール(MBA)修了、同大学院総合政策研究科博士後期課程在籍。
中央大学政策文化総合研究所準研究員。在NY日本国総領事館海外安全対策連絡協議会委員。
著書に「結局、日本のアニメ・マンガは儲かっているのか?」「アニメ・グローバル競争戦略再考」等多数。  Facebook:www.facebook.com/george.itagoshi HP: www.glabony.com