【現実はこうして解決した その1】広大地、鑑定評価で評価を下げた

 土地を全部、現地調査したところ、広い土地が何か所かありました。広大地は500平方メートル以上が該当する地域です。周辺は住宅街で、ビルが建つような立地ではありませんので、広大地評価が適用できるという判断となりました。

 しかし、広大地評価をした中で、広大地評価よりも低い価格が現実的だと判断できる土地がありました。そこで、不動産鑑定評価を作成して、その評価で申告をしました。

【現実はこうして解決した その2】時価(売却価格)で申告する

 6000万円と評価された土地は、実際の周辺相場を調べてみると2000万円もしませんでした。そこで、売却して時価申告をすることにしました。売却代金を納税資金に充てるため、申告期限までに売買が完了していることが望ましいといえます。

 相続税の申告期限後の3年以内であれば、取得費加算の特例が利用できるので、譲渡税が節税できるメリットも生まれます。

 結果、当初の相続税額は1億8260万円でしたが、実際に納付した相続税 1億1060万円。トータルで7200万円の節税ができました。

【ここがポイント】

・広い土地は広大地、鑑定評価などで評価減できる可能性が高い
・評価以下にしか売れない場合は、時価申告ができる


これまで、本書から抜粋した一部の事例を通して、相続のかたちが見えてきたと思います。実際にあった事例を本書では紹介していますが、すべてがハッピーエンドとはなっていません。相続は、就学、就職、結婚と同様に人生のイベントですが、他と違って、準備に時間をかける家族は極端に少ないです。遺される方を思えばこそ、生前に対策をきちんとし、家族間で話ができるよう、また、悲しい事例が一つでもなくなるよう、本書が寄与できれば幸いです。