安倍政権大勝で
原発正常化進むか

 昨日の第47回衆議院議員総選挙で与党が大勝した。安倍政権がこれまで進めてきた政策や、今後進めようとしている政策が、一応、国民の信を得たことになる。社会保障財源については、消費増税時期を2017年4月にすることは既定路線となり、集団的自衛権の行使に係る関連法案の提出も現実味を帯びる。多くの重要課題が前に進み始めることになるだろう。

 もう一つ、内政面での最重要課題がある。それはエネルギー政策だ。なかんずく、『原子力発電の正常化』が切に望まれている。

 先週12日の日本経済新聞朝刊1面では、「原発安全審査、高浜、年内に合格内定」と題する記事が掲載された。そこでは、関西電力・高浜原子力発電所3・4号機(資料1)について、「再稼働に向けて原子力規制委員会による原発の安全審査の合格内定を年内に得られる見通しになった」と報じられた。

 2011年3月11日の東日本大震災による東京電力・福島第一原発事故が起きて以降、日本全国の原発が停止に追い込まれている。関電は美浜・高浜・大飯の3原発を持つが、いずれも現在は停止したまま。それに伴う火力燃料費の負担増で、2014年3月期まで3期連続の最終赤字に陥っている。

 関西電力は、2013年春に料金値上げを実施した。値上げ幅は、家庭向けなど規制部門で9.75%、産業向けなど自由化部門で17.26%。これは、大飯3・4号機の稼働継続と、2013年7月の高浜3・4号機の再稼働を前提としている(資料2)。だが、いずれも稼働できない状態が続いたため、その後も赤字が続いているわけだ。

 この状態が今後も続くと、料金再値上げも免れない。関電に関しては、再値上げに関する報道が後を絶たない。直近では今月6~7日、一部の報道機関で関電のそうした報道がなされた。関電は翌8日に、「再値上げに向けた具体的な検討を行っている事実はない」旨の発表をした。だが、そうした報道が何度もなされてきていること自体、原発停止継続による関電の経営状況の深刻化が窺われる。