職場のメンタルヘルス
新潮流3つのおさらい
第1回でご紹介したように、職場のメンタルヘルスに関しては未然防止に関心が高まってきています。特にこの中で、新しい3つの流れがあることも第1回で述べましたが、重要なことなので再度、触れておきます。
1つめは、“ポジティブアプローチ”。うつ病の予防やストレスの改善だけでなく、従業員のポジティブな心の健康を増進することも、職場のメンタルヘルスの目標にしようという考え方です。
2つめは、“職場の資源へのアプローチ”。職場組織に注目したアプローチです。
今日の職場では、職場でのコミュニケーションの低下、信頼および助け合いの低下などが見られます。こうした職場の社会的機能の低下はメンタルヘルス不調の増加や従業員のやる気や活力の低下を招いています。職場組織の機能をメンタルヘルスの「資源」として捉え、向上させることで、メンタルヘルスを改善しようという考え方です。
3つめは“経営としてのアプローチ”。メンタルヘルス対策を進めようとすると、どうしても経営の視点から取り組む必要が出てきます。従業員のポジティブなメンタルヘルスの向上は、企業の生産性向上にもつながるからです。健康管理部門だけでなく、むしろ人事労務部門が主体となり、経営課題として取り組むことが求められてきます。こうした活動は、「健康いきいき職場づくり」と呼ばれます。
第2回の本稿では、このような視点から人事労務部門が、職場のメンタルヘルスのためにどんな活動ができるのかを考えてみましょう。