そのための資金はクラウドファンディングの手法を活用し、プロジェクトごとに不特定多数の人から寄付を募っています。つまり、最先端の製品と貧困層の課題、資金提供者の三者をオンラインで結んでいるのが特徴です。

ただし、無償で製品を配ることはしません。有効利用されない恐れや最終的に自立した生活を送ることを阻んでしまう恐れもあるからです。寄付の仕組みを活用しながら、あくまでも対価をもらうことで、ビジネスとして成り立つようにしていきました。

 こうして、当のベンチャー企業においても、毎月のソーラーライトの出荷台数が当初の100倍以上にもなったとも聞きます。貧困層の生活に「明かりをともす」だけでなく、テクノロジーの開発、支援にも一役買ったことになります。他にも浄水器や調理用コンロなどさまざまな製品を送り届けることに成功し、今では世界20万人以上の生活改善につなげていきました。

――中村代表は元国連職員ですが、なぜ国連ではなく民間でこれを実現したのですか。

 国連では、2002年に独立した東ティモールで、国の仕組みを一からつくる仕事などを経験しました。行政や議会、司法という国家という機構そのものをつくりあげ、強化するというものでした。国連では、途上国政府のトップとのハイレベルな政策議論や重要プロジェクトに関わることは日常茶飯事でした。

 しかしながら、ラストワンマイルと呼ばれる農村部に出張にいくたびに、貧困層の人々にインパクトを与えるまでに至っていないという大きなギャップを感じていました。国連のようなトップダウンより、個人や企業の「共感」によって寄付を集めてボトムアップで世の中を変えられないか。そう考え設立したのがコペルニクでした。