健康管理に関心を持つ人の間で薬用酒が静かなブームを呼んでいます。薬用酒というと以前はお年寄りか強壮を求める男性の専売特許のような感がありましたが、最近は主婦はもとより20代、30代にも浸透。特にハーブ酒は人気で、就寝前に「ちょっと一杯」という若い女性も増えているようです。

 薬用酒が体にいいのは、漬けた薬草や食品(果物や野菜)の有効成分をアルコールが効率的に抽出してくれるから。また、お酒自体も適度に胃を刺激して食欲を増進させたり、末梢の血管を広げて血行を高める効果があります。

  “酒は百薬の長”はここからきているわけですが、もちろんあくまでも適量が前提。「百薬の長とはいえど、よろずの病は酒よりこそ起これ」(兼好法師)という側面も忘れてはなりません。

 今回は季節柄、夏バテ対策によく効くオクラ酒を紹介しましょう。薬用酒に詳しい田村稲生先生(中医食治研究会会長・薬剤師)も一押しのスグレモノです。

 オクラと聞いて顔をしかめる方も多いかもしれません。どうも独特のヌメリ感が敬遠されるようですが、実はこのヌメリこそが健康パワーの源。ペクチンなどの食物繊維の宝庫で整腸作用やコレステロール降下作用のほか、血糖値の上昇を抑制する効果もあるのです。さらにオクラにはカルシウムやカロチン、ビタミンB1、鉄なども多く含まれており、夏バテ解消にはまさにうってつけの野菜です。

 材料分量の目安はオクラ30グラム、氷砂糖100グラム、ホワイトリカー(35度)200ミリリットル。オクラはヘタをつけたまま水洗いして、よく乾燥させます。容器にオクラと氷砂糖、ホワイトリカーを入れ、密閉した上で冷暗所に1~3ヵ月保存。アルコール臭が抜け、オクラの香りがしてきたらオクラをこして出来上がりです。味はスッキリさわやかな口当たりで、青臭さは残りません。これならオクラ嫌いでもおいしく飲めるでしょう。

竹内有三(医療ジャーナリスト)