円安・原油安・アベノミクスが
2015年の日本経済のキーワード

 2014年のわが国経済を振り返ると、円安・原油安・アベノミクスの3つのキーワードで総括することができる。

 日米の景況感や金融政策の違いによって円安が進み、海外展開を進めてきた大手企業を中心に業績の回復が鮮明化し、史上最高益を更新する企業も目立った。それに伴い、1年を通して株価が上昇傾向となった。

 それに加えて、原油価格が大きく下落したことは、わが国経済に工業製品の原材料費や運送費の低下というメリットをもたらした。また、ガソリンなどの石油関連商品の低下は、家計部門にとって重要な追い風となった。

 そうした要因を背景に、安倍首相は12月の衆院選挙を乗り切り、久しぶりの長期政権の基礎を築くことに成功した。一方、アベノミクスに期待された規制緩和などの改革策には目立った前進が見られず、わが国経済を本格的に活性化し、経済の実力=潜在成長率を高めるに至っていない。

 また、海外展開が遅れている中小企業は、円安などのメリットを享受できず、依然厳しい状況が続いている。そのため、大手企業が集まる都市部と中小企業が中心となる地方経済との格差は広がった。

 今年の前半も、円安・原油安と改革ができないアベノミクスが続くことになるだろう。問題は、わが国の経済の回復がもたついている間に、米国の金融政策変更やギリシャをはじめとするリスク要因が顕在化する懸念があることだ。

 2011年に1ドル=75円台まで進んだ超円高は、米国経済の回復に合わせてドル高・円安へと少しずつトレンドを変えた。その後、日米の景況感格差や日銀の異次元の金融緩和策の効果もあり、円安が進んだ。