さらに、12月の信託貸出増加額は同89.1%増と、7月から続いた純減から大幅増加に転じ、委託貸出増加額も同68.0%増に急増するなど、いわゆるシャドーバンキングの資金仲介機能も大きく改善したように見える。

人民銀行の思惑通りに中小・零細企業の
資金調達難は緩和しているか?

 それでは、中国人民銀行の思惑通りに、中小・零細企業の資金調達難は緩和しているのであろうか? 少なくとも現段階の答えは、否である。企業別製造業PMIの推移をみると、2014年12月の小型企業の製造業PMIは45.5と、拡大と縮小の分岐点である50を大きく下回り、統計の取れる2012年2月以降では2012年5月(45.2)以来2番目に低い水準に落ち込んでいる。金融統計が示唆する大幅な金融緩和が小型企業にも及んでいれば、こうした状況にはならないはずである。

(注)社会資金調達金額は金融システムから経済に供給された資金のネット増加額(または減少額)
(出所)中国人民銀行より大和総研作成
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 金融緩和資金はどこに向かったのか? 可能性が高いのは株式市場である。11月22日の利下げ以降、中国の株式市場は金融相場の様相を呈し、上海総合株価指数は、11月21日~2015年1月16日の間に35.8%の急騰を演じた。金融当局は、金融緩和資金が実体経済ではなく、株式市場に流入していることに不快感を持っているとされる。

 1月16日には、中国銀行業監督管理委員会が「商業銀行の委託貸出管理方法(意見聴取版)」を発表し、そのなかで委託貸出資金を債券、先物、金融派生商品、理財商品、株式に投資することを禁止するとした。証券監督管理委員会は、違法な信用取引で投機的な値動きを煽ったとして3社の行政処分を発表し、週明け1月19日の株価は7.7%の急落に見舞われた(その後反発)。

 株高には、資産効果を通じて消費を刺激し、新規上場や増資の増加など資金調達の活性化を促すなどのプラスの効果が期待できる。問題は、速すぎる上昇スピードであり、今後も資金が実体経済に向かう方向付けを行う窓口指導の実施などが想定される。その上で、中小・零細企業のテコ入れを目的に、再利下げなどを含む景気下支え策が続くと見ている。

 総じて見れば、中国の景気は緩やかな減速が続く可能性が高く、大和総研では、2015年の実質GDP成長率を7.0%(2016年は6.8%)程度と想定している。