中国で「血汗工場」という言葉がクローズアップされている。由来は英語の「Sweat factory」で、劣悪な環境下で長時間、低賃金労働を強いられている労働環境を指す。最近ではファーストリテイリング社の外注工場が「血汗(xuehan)工場」の汚名を着せられた。
「賃金が安く労働時間が長い上、罰金を課される、また労働環境は危険な状況であり、労働組合については民主的プロセスを経て組織されたものではない」――。
香港を拠点とするNGO団体による潜入調査は、従業員として潜り込んで実態を暴露し、ファーストリテイリング社に改善を要求するものだった。その結果、同社も改善のための行動計画を示すに至った。
先進国水準とは開きがあるが
中国なりに労働環境は改善
中国の工場の実態が白日のもとに晒されたのはこれが初めてではない。過去にはアップル社の委託工場であるフォックスコン、また、デルやヒューレットパッカード、ナイキなどの中国工場で、「劣悪な条件での労働」が指摘された。
こうした一連の騒ぎが奏功したのか、「中国の工場での労働条件は近年改善している」という声が聞かれる。労働集約型の工場における労働環境の改善は過去から続く課題であり、中国に外注先を持つ日本を含む外資企業は、大手・中小を問わず、一貫して取り組んできた。たしかに、先進国から見れば眉をひそめるような労働現場かもしれない。だが100%の法律遵守は不可能にせよ、まったく改善の痕跡がないといえば嘘になる。
今回、NGOの調査対象となったのは「ユニクロ」の外注先だが、中国の工場の実態をよく知る日本人からは「(これら工場が)無茶なことをしているとは思えない」という指摘が挙がった。
問題があると認められた工場は、主に広州市にあるPacific Textiles Ltd.(太平洋紡績有限公司)の工場「互太(番禺)紡績印染有限公司」と東莞市にあるLuen Thai Holdings Ltd.(聯泰合控股有限公司、実際に問題が発覚したのは買収先である東莞通威服装有限公司)で、いずれもファーストリテイリング社にニット生地とアパレル製品を供給している。ちなみに、Luen Thai社は1980年代に創業し、輸出向けの衣料品加工については30年超という実績がある。