バフェットは、株主に対して誠実な経営者を高く評価し、業績についても正直に報告することを望んでいます。とくに、株主が抱いている次の疑問にきちんと答えることが大切だと考えています。
(1) 会社の価値はおおむねいくらぐらいか
(2) 借金をきちんと返済できるだろうか
(3) 与えられた条件のなかでうまく経営しているか
そのよいお手本になるのが、バークシャー・ハザウェイのアニュアルレポートです。目を引くようなグラフなどはありませんが、株主が業績を正しく評価するための情報が正直に盛り込まれています。これは、バフェットが株主に対して誠実に接しようする姿勢の表れでしょう。
2001年に、アメリカではエンロンなど会社の不正行為が相ついで発覚しました。会計処理のごまかしが多発したうえに、決算書にお墨付きを与えている監査法人までもが不正に加わっていたのです。バフェットはこうした会計スキャンダルをとても嫌います。これらの行為を防ぐためには、会計制度を見直すだけでなく、経営者の貪欲さやウソを追及するべきだと話しているほどです。
「最近の決算書を読むと、形式的な損益計算書をひんぱんに目にするでしょう。こうした決算書を作成した経営者は『これもあれも除外して、大きな利益を上げていることを示すものだけ見てください』と言っているようなものです。悪いことは全部忘れてくださいというメッセージを、恥ずかしげもなく毎年発表する経営者がじつに多いのです」
バフェットは、こうした経営者の姿勢は株主を裏切る行為として腹を立てています。なぜなら、株主は会社のオーナーであり、株主を大切にしない会社はけっして成長できないと考えているからです。
会社は株主のおかげで
発展している
経営者が株主に対して誠実かどうかを知るために、株主総会に出席してみるのも1つの方法です。日本企業の株主総会も少しずつ開かれたものになってきましたが、相変わらず形式的なものだったり、ヤジが飛んだりといった雰囲気は否めません。