――イギリスのエネルギー政策の経緯や動向はどのようなものか?

 イギリスは、日本と同じように島国。北海油田はあるが、生産量は減り続けており、自国だけでエネルギー資源を賄い切れていない。天然ガス輸入も増えており、今ではエネルギー純輸入国。そういう実状もあって、原子力も含めてエネルギー自給率を極力高めていく必要がある。

 その場合、特に原子力への期待は大きい。イギリスでは、北海油田の開発が進んだことで原発新設を停止させた時期があった。だがその後、北海油田枯渇、原油価格高騰、温暖化ガス排出抑制の要請などを踏まえ、2006年に原子力発電所の新設を再開すべく方針転換をした。

福島後も国民は原子力を支持
懇切丁寧な説明が重要

――2011年3月の福島原発事故によるイギリスの原子力政策への影響はどうだったか?

 イギリスでは、福島事故の後も、原子力について国民からの支持を保つことができた。それは、政府と電力業界がメディアとの直接対話を通じて国民に対し、懇切丁寧な説明を行い続けたからだ。日本でも、そうした努力がきちんとなされていく必要がある。

 また、メディアが的確に報じていくよう、政府や電力会社は努力を惜しんではならない。

――日本では原子力への世論の風当たりは厳しいものがあるが、どうすれば適切な理解が得られるか?

 一つの鍵となるのは、女性の理解だ。日本でも、他の国でも、学歴の高い女性には原子力に反対を唱える人が多いと感じている。だから、特に女性層に対して原子力のメリットや役割をしっかりと説明していくことに注力すべきだと私は考えている。

 さらに、日本はアメリカのスリーマイル島(TMI)事故後のメディア対応を教訓として生かすべきだ。事故後、アメリカ国内で反原子力の気運が高まったのは、当初のメディアへの対応がまずかったことも理由の一つ。だがその後、適切な情報提供などメディア対応への努力もあり、今では原子力への信頼は回復していると思う。TMI事故処理の経過は、今となっては原子力事故処理の失敗例ではなく成功例だと評価することができる。