日本人は、日本のことを、自分たちだけで決めることができないのではないか?

 そんなふうに思うことは頻繁にある。最近では、東日本大震災による東京電力・福島第一原子力発電所の事故が起こって以降のエネルギー政策の動向が、まさにそんな様相を呈している。他方で、外国からの的確な助言を得、それが日本のエネルギー政策を立て直す一助になるのであれば、有用なことだ。

再エネ推進より原子力への信頼回復が最優先英国原子力公社名誉会長、原子力改革監視委員会副委員長バーバラ・ジャッジ氏

 震災翌年の2012年9月、東電に「原子力改革監視委員会」が設置された。国内外の有識者から構成されている諮問機関で、東電が「世界最高水準の安全意識と技術的能力、社会との対話能力を有する原子力発電所運営組織」に脱皮できるよう助言などを行うもの。これまでの経緯を見る限り、かなり厳格で辛口な指導ぶりも目立つ。東電改革に厳しい外部監視が必要であることは言うまでもない。

 2月6日、この原子力改革監視委の副委員長で、イギリス原子力公社名誉会長のバーバラ・ジャッジ氏(Lady Barbara Judge:写真)と対談させていただく機会を得た。ジャッジ氏は東電改革の有力な指導者の一人。東電改革にとどまらず、日本のエネルギー政策へのマクロ的な示唆をいただきたく、今回、ジャッジ氏のまさに外部的な視点からの考えを伺ってみた。

エネルギー自給率を高めるため
イギリスは原発新設に方針転換した

――日本では最近、ようやくエネルギーベストミックス(最適電源構成)の検討が始まったが、どのような方向に向かうべきか?

 どの国でもエネルギーベストミックスを目指すことはとても大事。私は常々、エネルギー政策に必要な考慮すべき要素として、次の3つが重要と考えている。

(1) Security(安定供給性):十分なエネルギー源を確保できているか 
(2) Independence(独立性):輸入にはどこまで依存するか
(3) Climate Change(環境特性):温暖化ガス排出はどの程度か

 日本でも、こうした視点からエネルギーベストミックスの姿を模索していく必要がある。これは、もちろんイギリスでも同様だ。