アメリカの景気後退がいよいよ現実となってきた。12月の失業率が5%に上昇し、頼みの綱であった小売り売上高も、半年ぶりに前月比マイナスになった。これを受けて、ニューヨークダウは連日のように、200ドル、300ドルと大幅な下げに見舞われている。

日本株は下げすぎている!

 アメリカ経済は、やりすぎた住宅バブルがはじけているのだから仕方がない。いずれ不良債権の本体からの切り離しと、金融機関の資本増強が図られれば、再び株価は上昇に向かうはずだ。当面は、1月29日、30日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げと、バーナンキ氏の手腕に期待したい。

 問題なのは、新年に入って、当のニューヨークよりも日本株の下落率のほうが大きすぎることである。ニューヨークの下落率5%に対して、日本株はなんと11%も下げている。

 これは、もちろん外国人投資家の比率が6割と高いことも一因だろうが、日本は外需依存度が高いと思われていることにも原因があるのではないだろうか。ここのところの円高傾向で、輸出企業の業績が悪化し、日本経済も減速するというシナリオが、どうも多くの投資家の一致した見方のようである。果たしてそうなのだろうか?

円高は、日本に内需拡大をもたらす

 2006年の日本の名目GDPに対する輸出の占める割合は、実はわずか14.8%に過ぎない。他の国々と比較してみれば、その低さがよくわかるはずだ。韓国は37.2%だし、中国も36.9%、ドイツも38.4%と、輸出依存度は日本よりはるかに高いのだ。

 日本は全体の56.5%が民間消費支出であるし、政府消費支出も17.8%を占めている。実は日本は、GDPのうち消費が74.3%を占めている消費大国だったのである。つまり、日本経済にとって悪影響と思われている円高こそが、今後、内需を刺激し、景気持続のカギになる、と私は思っている。