現実に多くなりそうだが…
元官僚はダメ!

 現実に多くなるのではないかと思えて、しかし、社外取締役として望ましくない人物属性の筆頭が、企業のビジネスと関係する官庁のOBだろう。

 仮に、筆者が、腹黒い上場企業経営者だとすると、監督官庁に恩を売ることができて、上手くいくと情報収集や口利きの役にも立つ人材として、官庁OBを社外取締役として採用することを考えそうだ。

 1社から得られる報酬はそれほど高くないとしても、複数社の掛け持ち勤務が可能だし、社会的にステイタスが高く、上から目線で仕事ができる社外取締役は、官僚OBがいかにも好みそうな再就職先だ。特に、継続的に採用してくれることが確実な会社に、お役所は、露骨に便宜を図らないまでも、「大いに好意的に」接することが期待できる。業種と官庁の性質によっては、社外取締役の人件費は簡単にモトが取れそうだ。

 官庁OBが上場企業の社外取締役に採用されるような流れができた場合、一見企業のコンプライアンスが充実するように見えるかもしれないが、企業と監督官庁を合わせた業界全体では、かえって以前よりも管理が不適切になり、総合的悪化を招きかねない。この問題に関しては、企業の自主性に任せるのがいいとは言い切れない。

 社外取締役の採用条件の方ではなく、官庁の再就職に関するルールで対応しなければならない問題だろうが、官民の人材交流が全て悪いわけでもないし、個人の職業選択の自由にも関わる問題なので、規制の仕方は難しい。

 しかし、上場企業の社外取締役の設置を事実上義務化した場合、官民の癒着に起因する問題が起こりやすくなる潜在的な可能性には注意が必要だろう。