【その12】
 広告の効率アップを目指すのはいいが、広告マンが仕事(業務)の効率アップを目指すと失敗する。広告の仕事とはそんなに合理的なものではない。キレイゴトなしに、泥臭く「時間と手間をかけた」ほうが、広告キャンペーンの質は絶対に上がるものだ。

【その13】
 通販をやっている広告マンは
CPA(Cost Per Action:1人のレスポンス獲得にかかったコスト)、
CPO
(Cost Per Order:1人の本商品購入獲得にかかったコスト)、LTV(年間購入単価:1年間での顧客1人あたりの購入単価)、ROAS(1年間での広告の費用対効果)」などの明確な目標数字をクライアントからもらおう。目標をもらったらその数値を必ずクリアできるように、徹底的に戦略/計画を立てる。責任逃れのためにあえて聞かないような広告マンは、この仕事をやめてしまうべきだ。

【その14】
 優秀な広告マンは、まずクライアントのLTV(年間購入単価)などから採算性を逆算し、後日広告を提案する。バカな広告マンは、まずは広告を提案し、後日「採算が合わない!」とクライアントから怒られる。

【その15】
 クライアントへの売り込みをしてはいけない。クライアントからお金を投資してもらおう。クライアントへ媒体を売り込むセールスマンになるのではなく、証券会社のファンドマネージャーのような存在になるべきだ。投資をどう運用していったら、投資対効果を最大化できるか、つまり多くのお客様を獲得できるかを徹底的に考えよう。

【その16】
 ネット広告マンの多くは媒体の枠売り作業をメインとしており、付加価値がないため、媒体のマージンの値引き競争にさらされる。今後のネット広告マンは、最低限クリエイティブとCRM(フォロー活動)を必ず提供すべき。単純にエクセルシートを提出して媒体を売ることはバカでもできる。

【その17】
 ここ数年はクライアント側に「ネットをやらなきゃ!」的な空気があったので、ネット広告業界は伸びてきたが、それが最近なくなってきた。別にネットだろうがオフラインだろうが関係なく、効率がいいメディアが一番なのだ。これからは本当にクライアントに貢献しないネット広告マンは絶対にすたれる。もう顧客をだますことはできない。

【その18】
 ネット広告の実際のライバルはテレビではなく、折込チラシだ。
 だから、ネット広告を売りたい広告代理店マンは、ヘタクソな折込チラシをガンガンやっているクライアントを攻めたら、効率的にアカウントをゲットできる。うまくやれば、ネット広告の「純広告」を使っても折込チラシ程度には簡単に勝てる。

【その19】
 キャンペーンが終了した後は、広告マンは徹底的にデータを分析してクライアントに報告する。効果が悪くても、言い訳をしないで分析と報告をするべきだ。クリエイティブもメディアもダメだったところを徹底分析して、次回に向けて“最適化”できれば効果は必ず上がる。

【その20】
 広告マンに一番必要なのは、「クライアントのお金(広告費)を、まるで自分のお金のように考えられる」能力だ。もし、自分のお金だったら、誰もが……ミスをしないために命がけでチェックをし、コストを抑えるために命がけで媒体交渉をし、売上を上げるために命がけでクリエイティブづくりをするだろう。

【その21】
 広告マンは、クライアントの「広告費をもらいにいく」のではなく、一度だけでいいから小さいクライアントを大きく成長させて、「自分で自分の広告費をつくる」ことをしてみるべきだ。1000万円しかなかったアカウントが20億円に化けるような成功体験が、今後の広告マン人生を大きく変えるから。

【その22】
 広告マンがどんなに「すばらしい広告企画です!」とクライアントに力説しても、あなた個人に圧倒的な他社での成功例がないと、クライアントはあなたのことを信用しない。まずは、小さいクライアントでもいいから「成功体験」をつくろう。

【その23】
 広告代理店が大きなチームを組んだら、そのクライアントは安心できるかもしれない。ただし、広告の質は関わっている人数に反比例する。チームワークごっこは弊害だ。必要なのは、一人の超優秀でリーダーシップを持った設計者(あなた)と、その設計者の指図を忠実に実行する優秀「職人(スタッフ)」たちである。

【その24】
 広告の仕事はサッカーに似ている。「チームプレー」が大事だと言いながらも、キレイゴトなしでブラジルのように、個人プレーの強い選手がチームに一人か二人いたほうが絶対に勝てる。スーパースターの司令塔(あなた)とストライカー(スタッフ)が一人ずついれば、その広告代理店チームは優勝できる。

【その25】
 広告代理店がプレゼンをする際、多くの広告マン(特に営業)は、「スタッフを紹介すること」が役目だと思っている。その後、あらゆるスタッフが入れ代わりで話すみたいな……。
 ただし、熱い営業なら、自分でプレゼンしたほうが勝率は高い。利口なクライアントは、安っぽい組織っぽさよりも、大将の志を見たいのだ。