広告代理店の広告マンに向けた「25の提言」

【その1】
 まずは大前提として、圧倒的な実力をつけること。それが専門分野であればあるほどいい。そこらへんにいる多くの「一般広告マン」と同じキャリアを積んでも差別化ができない。会社の中の9割の人と違うことをやることが重要なのだ。

【その2】
 総合広告代理店の新人広告マンの多くは、意外にも「ネット」や「ダイレクト」の仕事をやりたがらない。みんな華やかなテレビCMでのブランディングをやりたがる。でも、若くしていきなりオッチャンたちの能力を超え、若くして会社の中でスーパースターに成り上がれる唯一の分野が「ネット」や「ダイレクト」だったりするのに。

【その3】
 ブランディングの世界ではどんなに有名な広告マンであろうと、クライアントに「自分がやったら今までより100%売上が上がる」とは断言できない。
 ただし、ネットやダイレクトの世界ではすべて数値化されているので、本当に実力がある広告マンなら、クライアントに「自分がやったら今までより100%売上が上がる」とズバリ断言できる分野なのだ。

【その4】
 経験的に言うと、広告マンの9割以上は、広告の仕事を「販売業」だとは考えていない。デザイナーの92%は「アート」だと考え、CMプランナーの96%は「エンタメ」だと考え、営業の99%は「クリエイティブな広告」に憧れているのだ。

【その5】
 ネット広告マンは、デジタルな仕事だからこそアナログを勉強すべき。ネット広告人はテクノロジーよりもアナログな「ダイレクトマーケティング」をより徹底的に研究するべき。たかが10年ちょっとのネットに比べ、ダイレクトマーケティングには100年以上もの歴史があり、先人の貴重な知恵があるのだ。

【その6】
 古いマーケティング手法だけをやる広告マンは失敗する。ただし、次世代マーケティング手法だけをやる広告マンも失敗する。堅実に成功したかったら両方をバランスよくやること。もっと言うと、古いマーケティング手法の貴重な知恵やノウハウを、次世代マーケティング手法に活かすことが重要だ。

【その7】
 可能であれば、本を執筆したり、講演をしたり、媒体社に自分を売り込んだりしよう。露出が増えると、先生扱いされて、一般の広告マンとは天と地の差が出る。プレゼンが抜群に通りやすくなることはもちろん、あらゆるクライアントから指名で仕事の依頼がくるようになるなど、ビックリするほどすべてがプラスのスパイラルに動き始める。

【その8】
 広告の最適化ツールは“バカ広告マン量産ツール”になることもある。
 広告では、人間が商品や消費者をしっかりと見極め、売るための企画を徹底的に「考え/実践/検証」する必要がある。そのうえで、効率化のためにテクノロジーを使うのはいいが、テクノロジーでネット広告マンがさらに怠慢になるのはダメなのだ。

【その9】
 広告マンはメディア側に立つのではなく、常にクライアント側に立つべきだ。お金を出しているクライアント側に常に立って、媒体社とコスト交渉する。採算が取れたら、その媒体社へ集中投下して恩を返せばいいのだ。

【その10】
 仕事ができる優秀な広告マンに共通しているのは、外見は堂々としていながらも、内面はとにかく心配性であることだ。つまり、責任感がメチャクチャある広告マンは、キャンペーンを成功させられる。内面でも余裕をこいている広告マンは、だいたいボンクラだ。

【その11】
 ネット広告マンは意外と媒体社と会わない人が多く、基本、メール文化だ。
 でも、デジタルな仕事だからこそ、あえてアナログな人間関係が大事だ。仕事を有利に進めるためには、挨拶や飲み会でもなんでもいいいから、あえて多くの人と「直接会った」ほうがいい。私は今まで100社以上のネット媒体社を訪問した。