NPOやボランティアの力を生かすには
活動目的の明確化が不可欠

 震災という非常事態に、誰かの役に立ちたい、何かをしたいという気持ちは尊い。だがそれを長きに渡って継続することは難しい。

 今後、2つの震災の経験を踏まえ、行政側は、「どこに」「どんな技術を持った人を」「何人くらい」「何日間」必要かを瞬時に判断し発信、その活動の目的を明確化する必要がある。それにより、2震災で経験したような、「ただとりあえずやって来た」という無目的なNPOや個人ボランティアに行政が翻弄されることはなくなるだろう。

 NPOやボランティアといった市民の自然発生的な力を引き出すには、今以上に、行政側の発信が必要となる。明確な目的、ビジョンを示した行政側のアクションがあればあるほど、NPOやボランティア側もまた動きやすいのではないだろうか。

 またNPOや個人ボランティアの側も、「どのくらいの期間」「何ができるのか」を明確にしておく必要がある。無目的な善意はかえって救出・救援、その後の復旧・復興活動の妨げになる。この無目的さが、未だNPOやボランティアという活動への社会からの理解が得られない原因だ。

 とりわけ行政からの補助金を受給しているNPOは、活動目的が時代と社会のニーズに合わなくなった時点で解散する、もしくは補助金受給を辞退する勇気を持たなければならない。同時に行政の側も補助金を受給しているNPOの活動実態をチェック、その結果を定期的に高い透明度を持って公表するようにすればよい。

 これにより補助金受給目的のみで存在するNPOの存続は防げよう。もしNPOが活動目的を変えてなお補助金を受給するというのであれば、その都度、行政側の厳格な受給審査を行うのは当然のことだ。

 加えて、現在、活動の自由度を高める目的から補助金を受け取っていないNPOのうち、行政が期待する永続的な事業に継続的に携わっているNPOには、たとえ少額でも何らかの謝金は渡すべきだろう。そうすることで「行政は無償でNPOを下請け化している」との批判をかわせるとともに、財政面でも厳しい運営を強いられているNPOにとっては資金面でも救われることになる。

 神戸市と震災関連に活動の主軸を置くNPOの関係を見る限り、行政側、NPO側共に「市民の自然発生的な力」を無目的に期待するだけで、何を期待しているかという具体論に欠けているところがある。これでは行政の下請けにもならないだろう。

 震災といった有事はもちろんのこと、平時においても、行政といまや高度な組織化がなされたNPO側双方の広報力、発信力、渉外力の向上こそ、ボランティア活動という無償の善意、市民の力を最大限に引き出すのではないだろうか。