「違法性はない」「知らなかった」
続々と発覚する「政治とカネ」の疑惑
Photo:Natsuki Sakai/AFLO
再び、永田町に「政治とカネ」の嵐が吹き荒れている。
2月23日、西川公也農林水産大臣が辞任した。西川元大臣が代表を務める政党支部に対して、国の補助金の対象になっていた会社から寄附を受けていたことが判明したのだ。西川氏サイドは「違法性はない」と主張していたものの、最終的には辞任に追い込まれることとなった。
しかし、事態はそこでとどまらなかった。なんと、安倍晋三総理大臣、麻生太郎副総理兼財務大臣、菅官房長官に加えて、重要閣僚らにも続々と同様の疑惑が発覚しただけでなく、それを追及する立場であるはずの野党民主党のトップである岡田克也代表もまた、その政党支部が補助金支給企業の持ち株会社から献金を受けていたことがわかったのである。
挙句の果てに、下村博文文部科学大臣の「違法献金」疑惑に中川郁子農水政務官の不倫騒動などが加わり、政界はてんやわんやの大騒ぎである。
多くの重要課題を抱えていながら空転する国会。「もういい加減にしてくれよ」と嫌気がさしてる有権者の方々も少なくないだろう。政治家たちは口を揃えて「返金した」「違法性はない」「知らなかった」と主張しているが、政治不信は高まるばかりだろう。
事態が膠着状態に陥るなか、ちょっと立ち止まって、今何が起きているのかを整理してみたい。我々国民の多くは、政治献金の何が問題かを、実は詳しく知らないであろうからだ。
――そもそも、政治資金規正法って何だろうか?
――ちゃんとルールがあるにもかかわらず、なぜこんな問題が続々と明らかになるのだろうか?
――いったい、どこに問題があるのか。法の欠陥なのか、仕組みの問題なのか、それとも議員の質の問題なのか?
――そして、政治家たちの言い訳はホントなんだろうか?
筆者はマッキンゼーでコンサルタントとして働いた後、国会議員政策担当秘書として政治の世界へ飛び込んだ。与野党の国会議員事務所で2年半働いた後、自身も兵庫県第10区(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)から、前回の衆議院議員選挙に出馬した。政治の現場や裏側を「民間の目」で見てきた経験から、こうした有権者からの素朴な問いに答えつつ、本件の本質に迫りたい。