>>(上)より続く
かつて1990年代末に、独ダイムラーと米クライスラーが合併したことが、自動車世界大再編の引き金となった(両社は数年を経ずして離婚したが)。その背景には、次世代環境対応のエコカーの本命とされたFCVへの、莫大な投資力が求められたという事情もある。
日系各社のなかでも、このFCV開発を含む多様なパワートレインに取り組む姿勢は、トヨタとホンダに共通するものがある。1997年末に赤字覚悟でハイブリッド(HV)車「プリウス」を投入したトヨタだが、HVからプラグイン・ハイブリッド(PHV)、電気自動車と次世代モビリティの各棲み分け領域を想定した開発を進めている。
ホンダも効率改善とエネルギーの多様化を目指し、ガソリン・ディーゼルの内燃機関からHV 、PHV 、EV 、FCV へと開発を進め、FCVに関しては社会システムの中で新たな価値を創出可能とする。
2002年には、共に限定リース販売でFCVを投入し、今回はトヨタがミライで先駆けたが、2015年度中にホンダも市販化する。
億単位の「ミライ」が700万円台に
ホンダも同様の価格設定を模索か
かつては億円単位といわれたFCV が、ミライの723万6000円(補助金で500万円台)までコストダウンできたことからも、ホンダも同等な価格設定をしてくるだろうし、今後の普及拡大期には量販コストのダウンでガソリン車並みともなろう。
このFCVに関しては、エネルギー問題における水素社会への政治力とも連動する。安倍政権による後押し、5年後の2020年に開催される東京オリンピックに向けた動きが、水素スタンドなどインフラ整備に大きく関係しそうだ。
いずれにしても、トヨタがHVを97年末に市場投入してから本格普及までに15年程度かかったわけで、少なくとも2020年代以降が普及期になると見られれる。その時点で、どちらが主導権を握っているかである。