4月9日、「政治とカネ」の問題等で遅れていた2015年度予算が成立した。同予算は、財政健全化の中間目標の期限に当たるものとして注目されていた。結果として、「2010年度比でプライマリーバランス(PB)赤字のGDP比半減」という、15年度の目標は達成見込みである。一方で歳出規模は過去最大となった。2020年度にPB黒字化という、終目標達成への見通しは立っていない。政府は今夏、財政健全化計画の策定を行う予定だが、課題は何か。15年度予算の内容から考察する。

予算成立が年度をまたいでずれこんだのは2年ぶりである
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 2015年度予算は、政府の取り組む財政健全化の節目の年度として、注目されてきた。

 政府は、国・地方トータルの基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下PB)について、(1)「2015年度までに10年度に比べ赤字の対GDP比を半減」し、(2)「20年度までに黒字化」することを目標に、財政健全化に取り組んでいる。

 内閣府の試算によると、15年度予算に基づく国・地方のPB赤字は名目GDP比▲3.3%と、10年度の同▲6.6%対比で半減し、財政健全化目標の一つ目は達成される見込みである。しかしながら、二つ目の目標である20年度黒字化の目処は今のところ立っておらず、政府はその達成に向けた新たな財政健全化計画の策定を予定している。

 そこで、本稿では、15年度予算を概観し、新たな財政健全化計画で踏まえるべきポイントについて検討した。

過去最大規模となった2015年度予算
抑制努力で歳出総額は0.5兆円の増

 15年度予算の姿を概観すると、一般会計の歳出総額は96.3兆円、これから国債費を除いたPB対象経費は72.9兆円と、いずれも当初予算では過去最大の規模である。もっとも、以下のような歳出増加の抑制が図られており、前年度当初予算からの増加額は歳出総額が0.5兆円、PB対象経費が0.3兆円にとどまっている。

 第一は、社会保障関係費の増加抑制である。社会保障関係費については、もともと、高齢化等に伴う年金・医療等の増加額として、前年度当初予算対比0.8兆円程度が見込まれていた。これについては、介護保険料の上昇抑制、協会健保に対する国庫補助の減額などによって、同0.4兆円程度に抑制される。ただし、昨年4月の消費税率引き上げに伴う社会保障の充実分が0.6兆円加算されるため、社会保障関係費全体では、結果として同1兆円の増加が見込まれている。