というのも、従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し、給与所得の源泉徴収票や社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関などに提出する必要がある。また、証券会社や保険会社が作成する支払調書、原稿料の支払調書などにもマイナンバーを記載しなければならない。

 その際、企業には本人をしっかりと確認し、人と番号と個人情報を間違いなく結び付けることが求められる。そのため、内部統制の見直しなど、新たな作業が大量に発生しているのだ。

 セキュリティ面でも企業の負担は大きい。セキュリティ対策は、国から企業に責任が押し付けられているためだ。

 マイナンバーが漏えいするパターンは幾つか考えられる。

 一つ目は、そもそも企業がセキュリティシステムを自前で用意できない場合だ。新たな設備投資が発生するため、費用を負担できないような中小零細企業は表計算ソフトなどで管理するしかない。そうなれば、セキュリティは甘くなり、パスワードを設定していたとしても破られる可能性がある。

 セキュリティシステムを準備している大手ベンダーも「当社の顧客は3000人以上規模の企業がターゲット。それ以下は対象として考えていない」という。9割以上が中小企業という日本で、マイナンバーのセキュリティだけに費用を掛けられる企業がどれだけあるのか疑問だ。

 二つ目は、専門の管理会社に外部委託する場合だ。人材派遣会社や飲食業などは人材の入れ替わりが激しく、年間数万件の番号取得が必要なケースもある。漏えいを恐れて「自社で番号を管理したくない」と考える企業も多いという。

 そうなると、ベネッセ事件に見られたように、委託先が再委託した先から番号が漏えいするようなリスクが生じる。

 三つ目は「謝金処理」のように番号の個別管理が煩雑になる場合だ。謝金とは、講演や原稿執筆した際に支払われる代金のこと。このとき支払調書にマイナンバーを書く必要があるが、「一番漏れやすいポイント」とある専門家は指摘する。

 例えば企業が講師にセミナーを依頼した場合、今後はその講師からマイナンバーを受け取らなければ謝金を支払えない。事務局がアルバイトを使って用紙に講師の番号を書いてもらうケースも出てくるだろう。