さらに今年はインターンシップの募集時期が長かった。昨年の6月から3月頃まで、継続的に企業がインターンを募集していた。様々な企業を知ることができるのは良いことだ。しかし、残念ながら先ほどのような感想になり、選択肢が増えすぎて志望企業を定めることができなかった学生も多くいた。

前年の1.5〜2倍の内定を出す企業も

  インターン参加後、間もなく、彼らは年末年始に本選考がはじまる企業にエントリーをする。この時点で、引き続き志望企業は定まっていない。
   そんな中途半端な状態なので、彼らが選考に落ちるのかというと、案外そうでもない。

  ご存じのとおり、今は就職売り手市場。好景気に後押しされ、各社の採用数は増加している。
  そのため、企業はとにかく採用、早めに学生を押さえよといわんばかりに、内定を多く出しているのだ。先のインターンシップ実施企業の増加も同じ理由である。

  あるコンサルに内定した学生に聞くと「自分の知り合いで同じコンサルの選考を受けた人は全員内定した」(私立大学文系4年生)とのこと。
  同じゼミやサークルには近い適性や価値観を持っている学生が多いこともあるが、例年より多いのが実感だ。実際に採用担当者の話を伺っても内定辞退を見越して、前年の1.5〜2倍の内定出しを計画している企業もある。

  また、内定後も就職活動を継続することを容認する企業も多いというのが、今年の特徴だ。実際に、内定をもらった学生に「内定先の企業に就職活動を継続していることは伝えているのか?」と聞くと「伝えている」と答えが返ってきた。

  採用担当者は「続けるのは分かったが、ぜひ当社を前向きに検討して欲しい」と理解のある姿勢だったと言う。この状況の中で、学生は志望企業を「決めず」に、ここまで過ごせてしまっているのだ。