男性より女性の方が
リーダーとしての評価は高かった!

 女性は、本当にリーダーとしての能力がないわけではありません。そのことを示す1つの興味深い調査結果があります。筆者が勤務する株式会社グロービスでは「グロービス・リーダーシップ行動調査」として、企業研修でお会いするリーダーの方々に、リーダーに必要な15の行動について、自分が出来ているかを自己評価し、周囲の方々にも評価をしていただく360度調査を行いました。調査結果を男女別に分析したところ、なんと、女性のリーダーは大半の項目で男性のリーダーを上回る評価を得ていたのです(※6)

 15の項目のうち13で、女性のリーダーの他者からの評価の平均は、男性のリーダーのものより高い点数となっていました。ここには、目標設定、実行計画策定、他者の巻き込み、率先垂範、決断力、風土づくり、使命感の伝達、変化の促進など広範な項目が含まれています現在リーダーになっている女性は、同じポジションの男性よりも、むしろ優れた能力の持ち主であると言えます。

 女性のリーダーの方が他者評価が高いという調査結果は、フランスの高名なビジネススクールであるINSEADが行った調査の結果とも一致しています。INSEADがそのエグゼクティブ・スクールを受講した世界各国のリーダーたちを対象にした360度調査を分析したところ、ほとんどの項目で女性リーダーの方が他者からの評価が高かったのです(※7)

 彼女たちが進んでリーダーとなるためには、家庭などと両立可能な労働条件を整えるだけでなく、これまでのアイデンティティと矛盾しないリーダー像を持てるようなきっかけが必要なのです。

 現在、多くの企業が、亜紀さんの会社のように、女性リーダー候補の育成に取り組み始めています。「リーダー候補」の育成には、候補として選定される以前に、入社後からの配置や育成が真に男女に均等であること、リーダー経験や様々なリーダーに触れる機会が女性にも開かれることが必要です。こうした機会を逸してきた現在の「女性リーダー候補」たちには、経験不足を補うための研修や、ロールモデルと出会う機会作り、彼女たちを後押しするためのメンター制度なども有効でしょう。自分から率直にアドバイスを求めてみることも大切です。そして、経験や学びの機会を通じて自分の能力に自信を付けること、自分にも受け入れやすいリーダーシップ・スタイルを学ぶことが必要です。

 女性は決して能力がないわけではありません。自信を持ち、自分なりのスタイルを打ち出し、自分はリーダーなのだと自然に自覚できる機会を持つことで、多くの女性がリーダーになっていくことができるはずです。

(※6)男性1,709人、女性68人のリーダーについての調査結果。他者評価の回答数は男性リーダーについて11,961票、女性リーダーについて497票。

(※7)ハーミニア・イバーラ、オティリア・オボダル 「女性リーダーに唯一欠けている力」 ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー March 2009、pp.110-124