SF 小説『コンタクト』の示す究極の答え。
それは外から電波に乗ってやってきた
1997年、主演ジョディ・フォスターで映画化された『コンタクト』は、その名の通り、地球外知性とのファーストコンタクトを描いた作品です。
原作者のカール・セーガン(Curl Sagan、1934~96)はアメリカの天体学者で、科学の啓蒙(*1)と惑星探査や地球外知性探査(SETI)に力を注ぎました。彼が企画・編集・出演したTV番組シリーズ『コスモス(宇宙)』(全13話)は大成功を収め、天文学への公的予算獲得に大いに貢献しました。1980年のことです。
その彼が、世の人々に地球外知性との邂逅について問いかけたのがこの『コンタクト Contact』(1985)でした。
天文学者であり暗号の天才である主人公エリナ・アロウェイ(エリー)は苦労の末、宇宙からの人工的な信号を巨大な電波望遠鏡で捉え、その解読に成功します。そこには設計図らしきものが何重もの階層に分かれて隠されていました。それはある種の挑戦状のようでした。「この問題がキミたちには解けるかな? 解けたなら、ここまでおいで」
人類はその指示通りの巨大マシンを完成させ、エリーもそこに搭乗員として乗り込みます。
ついにそのマシンが発動したとき、エリーは地球外知性のファーストコンタクトを果たします。そしてその者によって、この宇宙の秘密が語られるのです。「われわれが気がついたとき、すでに宇宙をつなぐネットワークは存在していた。われわれはそれを管理・運営しているに過ぎない。この何億年間の間」「つまり、この宇宙はある者によってつくられたものなのだ」
人類は問い続けています。「この宇宙はいつどうやってできたのか?」
その答えを外に求め、電波望遠鏡で彼方からのメッセージに耳を傾け続け、そしてその答えを得ました。「この世はある知性によってつくられた」という。
*1 セーガンは、一部の科学者たちから「科学を単純化しすぎている」との批判を受けることもあったが、「科学者たちが考えているより、民衆は賢い」と反論した。