「これは違うかもしれませんが……」「大変恐縮ですが……」。日本語には、こうした前置き表現が数多く存在する。英語でこのような表現を使うリスクをお伝えしたい。

「So what?(何が言いたいの?)」と
言われてしまう表現とは?

 日本人は「失礼にならないように」と思うあまり、前置きが長くなりがちだ。その結果、要点を述べるのが遅くなり、伝えたいポイントがぼやけてしまう。そこで業を煮やしたアメリカ人に、So what is your point?(それで結局何が言いたいの?)と言われたという人は少なくない。例を挙げる。

【悪い例】
I don’t want you to go through the trouble of making copies, but if you don’t mind, would you send me the form?
(わざわざコピーをとってもらうのは偲びないのですが、お手数でなければ用紙を送ってもらえますか?)
【良い例】
Could you send me the form?
(用紙を送っていただけますか?)

 実は、前置きが長いのは日本人に限らない。私がビジネススクール時代に、一緒にグループプロジェクトをやったスペイン人も同じだった。クラスの前でプレゼンテーションをやるのに、本題に入る前に、「ひょっとすると~ではないかもしれませんが」「もし~だったらすみません」など延々と前置きを語る。

 プレゼンは、聴衆の関心をひきつけるのが大事なのに、どうでもいいことを語っている間に「これは何のプレゼン?」と関心が薄れてしまう。

日本人は「前置き」が長い! ズバッと本題に入ろう!

 そこで「前置き不要。ズバッと本題に入ろう」とアドバイスして、本番ではうまくプレゼンができた。口頭だけでなく、メールやレポートでも同様だ。メールの冒頭で日本語の「お疲れさまです」に相当する表現など使うべきではない。

 そして、下記のような前置きや断りは冗長なだけでなく、自信のない印象を相手に与えるので避けよう。

(1)You may not be interested, but ...
(興味はないかもしれませんが~)

(2)This might not be a good time to bring this up, but ...
(今、この話を持ち出すのはふさわしくないかもしれませんが~)

(3)I know this is beside the point, but ...
(これはちょっと話がずれているのはわかってますが~)

(4)This may not be relevant, but ...
(これは関係ないかもしれませんが~)

(5)This is probably just my problem, but ...
(これは多分、私だけの問題だと思うんですが~)