やっぱり……褒められたい!!
片桐 ぼくも10代の頃、そんな話を聞けていたらよかったのに。学生時代なんて、恋愛はことごとく避けてきましたからね。モテなかったからこそ余計意固地になって、「好かれないんだったら、こっちから嫌ってやろう!」と思っていました(笑)。
ライター/編集者。1973年福岡生まれ。1998年出版社勤務を経てフリーに。現在、株式会社バトンズ代表。これまでに80冊以上の書籍で構成・ライティングを担当し、数多くのベストセラーを手掛ける。臨場感とリズム感あふれるインタビュー原稿にも定評があり、インタビュー集『16歳の教科書』シリーズ(講談社)は累計70万部を突破。20代の終わりに『アドラー心理学入門』(岸見一郎著)に大きな感銘を受け、10年越しで『嫌われる勇気』の企画を実現。単著に『20歳の自分に受けさせたい文章講義』(星海社)がある。
古賀 それは、告白した相手に?
片桐 いやいや、告白どころか何のコミュニケーションもしてない女子に対して(笑)。
古賀 まさに「まわりはみんな敵」だったわけですね(笑)。ぼくも男子校に通っていたときは、あまりにも恋愛と無縁で驚きました。バレンタインデーもまったくそわそわしないんです。
片桐 ぼくも高校から男子校だったので、その感じよくわかります。バレンタインデーに、うっかりコンビニで安売りしてたチョコ買っちゃいましたからね(笑)。
岸見 高校1年生のときに、先生が「美人とは結婚しちゃダメだ」と言っていました。美人は生まれてこの方、蝶よ花よと育てられてきたから、人に合わせることをしない。そんな人と結婚したら大変なことになる、と。人生のパートナーを顔で選ばない、というのは今から思うと非常にアドラー的な話です。まあ、オチとしては「ちなみに私の妻は美人です」という話だったのですが(笑)。
片桐 『嫌われる勇気』に何度か出てくる「お前の顔を気にしているのはお前だけ」という言葉、ドキッとしましたねえ。ぼくは相当顔に劣等コンプレックスを持っていましたから。親からは「おもしろい顔」と言われていたし、小学校のとき転校生に校内を案内してたら「お前、ヘビみたいな顔してるな」って言われたこともよく覚えている。それがお笑いを始めたとたん、「いい顔ですね」とか「ずるいなー」って言われるようになったんです。
岸見 評価が逆転したんですね。
片桐 そうそう、「その顔だと、何言ってもおもしろいよ」って言われて、お笑いにとっては最高の顔だったんだなと。これは、人とつながって、お笑いというものにコミットすることで初めてわかったことです。そういう気付きって、いつどこで訪れるかわかりませんよね。だから『嫌われる勇気』も、10年後に読んだら、また違う感想を持てるんじゃないかと思います。たとえば、「ありがとう」ってこの本を読んでよく言うようになったんですよ。
岸見 そこからきっと、またいい方向に人生が変わっていくと思いますよ。