9月に公開されたmixiの新サービス「mixiボイス」。150字までの“つぶやき”を投稿するTwitter風のミニブログである。もともと「みんなのエコー」という名称で試験運用されていた機能だ。
ただし、「みんなのエコー」は、お世辞にも活況を呈していたとはいえなかった。インディーズ機能という位置づけだったため、使いたいユーザーだけが選択する仕組みになっていたからである。Twitterのブレイク前であったこと、もともとmixiは日記を中心としたコミュニティであったことなどから、二の足を踏むユーザーが多かったものと思われる。
そうした事情もあって、当初は「今さら……」「Twitterの二番煎じ」といった声も囁かれた「mixiボイス」であるが、サービス開始から半月余りを経た段階で見る限り、案外とユーザーには受け入れられている模様だ。
マイミクと手軽に交流できる「mixiボイス」。一方で、日記を書くユーザーは減少したかも!? |
その理由のひとつには、正式サービスに格上げされたことによって、全ユーザーに提供されるようになったことが挙げられる。突然トップ画面に現れた「mixiボイス」に戸惑ったユーザーも多かったようだが、「マイミクたちが発言しあっているのを見て、自分も書き込んでみた」というケースは多いようだ。また、公開レベルも「友人まで」といった制限を掛けられるので、安心して投稿できるようになったことも大きい。
主な話題に目を転じてみると、先行サービスとしてスタートした「mixiアプリ」の感想や進捗状況などを「mixiボイス」でつぶやきあっているユーザーが目につく。「mixiアプリ」とは、同サイトで提供されているミニゲームやチャットなどのアプリケーションのことで、現在100種類以上が公開されている。現時点では玉石混淆の感が否めない「mixiアプリ」を、「mixiボイス」がうまい具合にフォローしているかたちだ。
このような“ゆるい”コミュニケーションは、日記を通じての交流がメインだったこれまでのmixiにはなかったものである。ただし一方で、自分の書いた日記一覧がトップページに表示されなくなり、「使いにくくなった」と感じているユーザーがいることも事実。「mixiボイス」は、新たな方向へと舵を切ろうとしているmixiの試金石としての役割を担っているといえそうだ。
日記から、つぶやきやゲームなどの、より“感覚的な”コミュニケーションに特化しつつあるmixi。その背景には、ユーザー数の伸びが頭打ちにあることと、ライバルである「GREE(グリー)」が、ゲームを足掛かりにして猛追してきたという現実がある。今後、「つぶやき」と「アプリ」を両輪として、巻き返しを図ることができるのか注目したいところだ。
(中島 駆)