今週に入り、一時は88円台まで米ドル安・円高が進みました。この大きなきっかけが、藤井財務相による介入否定・円高容認発言とされています。
しかし、この為替介入否定の動きは、日本だけでなく、一部のアジア諸国にも広がっている模様です。これは、市場参加者の間で、ひそかに取りざたされていることです。
以上から、私が申し上げたい仮説の結論は、次の2点となります。
(1)日本は介入を「やらない」のではなく、「できない」のではないか?
(2)アジア諸国が、米ドル買い介入で得た資金をユーロや豪ドルで運用しなくなるため、ユーロ買い、豪ドル買いは減少するのではないか?
自国通貨高阻止の「放棄」の
動きは日本だけではない
米ドル/円は、2009年の年初に87円台をつけて、その後は101円台まで米ドル高・円安が進む場面があったものの、今週に入って、88円台前半まで米ドル安・円高が進みました。
この動きに対して、日本政府はこれまでのところ、円高阻止介入には動いていないようです。
米ドル/円 1時間足 |
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このような米ドル安・自国通貨高に対して、一部のアジア諸国がこの数ヵ月間、断続的に自国通貨売り・米ドル買い介入に動いていたことが観測されています。
ところが、最近になって、そのような市場介入が取り止められた模様です。このことが、市場関係者の一部で注目されています。
それでは、なぜ、市場介入を止めたとの見方が注目されているのでしょうか?
まず、一部のアジア通貨が最近にかけて、急上昇する場面があったからです。
この一部のアジア通貨とは、主に、タイバーツ、韓国ウォン、台湾ドルが挙げられます。これらの通貨の上昇は、市場介入によって阻止されてきたわけですが、上昇再燃となったことで、介入取り止めの可能性が注目されたわけです。
ところで、自国通貨を売り、米ドル買い介入で得た米ドル資金は、米ドル安による減価を懸念して、ユーロや豪ドルにシフトしてきたと理解されてきました。
この数ヵ月間、ユーロや豪ドルが対米ドルで上昇してきた一因は、こういった買いの影響もあったのでしょう。
ところが、最近では、ユーロ高、豪ドル高が、頭打ちとなっているのです