「きんは100歳、100歳。ぎんも100歳、100歳……」

 その後、双子はCMやテレビ番組に多く出演。同年には新語・流行語大賞の年間大賞にも選ばれた。介護問題や増大する医療費など高齢化社会の問題が取り沙汰される中、ユーモアのある受け答えで国民的な人気を獲得した。2人の登場によって元気なお年寄りのイメージが定着したのだ。このあたりから「お年寄りは元気でなくてはならない」という強迫観念が社会的に強くなった気もする。そして、現在のいつまでも引退しないお年寄りの問題が……いや、これはさておいて、長寿の理由に話を戻そう。

 これついてはさまざまな研究がある。特筆すべきはきんさんはテレビに出演する前までは軽い認知症を患っていたのだが、活動していくうちに回復したことだ。運動やテレビ番組の出演によって刺激を受けたのがよかったと考えられている。認知症の改善に運動療法は注目され、多くの介護施設がとりいれている。

 長寿は家系という考え方がある。たしかに2人は長寿の家系だが、長寿には外部要因が7割ほど関わっているといわれ、遺伝子だけが理由ではない。食生活についても多くの記録があり、きんさんの好物はマグロ、ぎんさんは白身魚とフライドチキン。孫と一緒に暮らしていたのでハンバーグなども好んで食べていた。きちんと3食食べるが、必ず腹八分だったそうだ。

 ぎんさんは死後、病理解剖され、医学の向上に寄与した。内臓は80代ではないかというほどで、動脈硬化なども見られなかったという。好物だった日本茶や魚のおかげだという説もある。日本茶のカテキンには抗酸化作用があり、魚の脂に含まれるDHAやEPAは善玉コレステロールを増やす。しかし、長寿に必要な要素は好奇心、運動、バランスの取れた食事、一緒に食卓を囲む人。2人はすべてが揃っていた好例なのだ。

※参考文献/
「病理解剖でわかった ぎんさんの若さの秘訣」(棚橋千里インタビュー)『comcom 2013年1月号』
『百六歳のでゃあこうぶつ』鈴木朝子著