坪田さんの本はプロフィール欄が面白いですね

坪田信貴(つぼた・のぶたか)坪田塾 塾長。これまでに1300人以上の子どもたちを個別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。「地頭が悪い子などいない。ただ、学習進度が遅れているだけ。なので、遅れた地点からやり直せば、低偏差値の子でも1~2年で有名大学、難関大学への合格は可能となる」という信念のもと、学生の学力の全体的な底上げを目指す。「受験だけでなく、人生を成功させねば意味が無い」というモットーから、教え子とは一生の交流になり、結婚式に呼ばれる事も多い。年齢などは「無用なラベリングをして他人を評価しがちな日本の風土を変えたい」ため、あえて非公開。マンガやテレビゲームが大好きで、妻とサッカーゲームで対戦するのが趣味。座右の銘は、「明日できることは今日するな。棚からぼたもち。あわてないあわてない、ひと休みひと休み」

坪田 僕が生徒に接するときは、「心の中で抱きしめながら話す」ことを意識していますが、まさにそんな感じ。すごく安心感を覚えるんです。それに、今回は心理学的な観点も結構入っていますよね?

佐々木 実は、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』から学んで取り入れました。僕自身『伝え方が9割』を発刊後、足りない部分を感じていまして。「伝え方のレシピ」を示すのはいいけれど、その論理的裏付けまでは示せていないと思っていたんです。そんなとき、坪田さんの本を読んで、さやかちゃんとの笑えて泣ける物語の中に、しっかり論理が入っていて学問的に説明できることに感銘を受けたんです。僕の本にも、どうにか取り入れられないかなと考えに考えて、今回の(2)を完成させました。

坪田 だから、参考文献に入れていただいているんだ。本を読むときは参考文献を最初に見るんですが、あれ?何でビリギャルが入っているんだろうと思っていました。

佐々木 完全に参考にさせていただきました(笑)。坪田さんの本は、プロフィール欄が面白いですよね。普通は、生年月日や学歴、肩書などが入っているのに、そういうものが一切記されていない代わりに、「足の短さに定評がある」って。

坪田 本を書くにあたり、アマゾンでアメリカの書籍の著者プロフィールを見てみたら、日本のものと全然違うんです。肩書なんて書いていなくて、「週3回は奥さんと公園で散歩する」とか日常的なことが書いてあって面白いなと。そして、プロフィールにネガティブな情報が書かれているものが他になかったので、自信を持って足の短さをアピールしました(笑)。…話を元に戻しますが(笑)、『伝え方が9割』って、ビジネス書ではないですよね。

佐々木 坪田さんはどのように捉えていますか?

坪田 ビジネスマンだけでなく、全人類に読んでほしい本だと思っていますが、僕がこの本を一番読んでもらいたいのは、世のお父さんやお母さんなんです。親子関係って、一番お互いに甘えが生じる関係なんですよ。子どもは育てられて当然と思っているし、親は親で子どもを自分の所有物と考えている。だから、「あんたまた何やったの!止めなさい!」などと頭ごなしに叱るし、子どもは「うるせえ、くそばばあ」と返してしまう。そんなときに、「伝え方」を知っていると、ストレスのないコミュニケーションが取れ、かつお互いに相手の気持ちに立つことができて、主体的に動ける。親子必読の書だと思っています。

佐々木 なるほど。

坪田 僕の本を読んだり、『ビリギャル』を観た親御さんは、皆さん大いに反省するんですよ。怒るのではなく、もっと子どもを褒めるべきなんだと。でも、「わかっているんだけどうまくできない。自信がない」とおっしゃる。そんなときに僕は、『伝え方が9割』を薦めているんです。『ビリギャル』はメンタルやマインドの温め方だったり、計画の立て方だったりという「戦略」を伝えているんですが、それを実践するための「戦術」は『伝え方が9割』にあると思っています。

佐々木 嬉しいですね。全然違う本だし、出版社も違うけれど、兄弟本みたいな感覚ですね。