『伝え方が9割』を最初に読んだとき、
実は悔しいと思ったんです
坪田 佐々木さんがすごいのは「伝え方を体系化している」こと。「相手の好きなこと」「選択の自由」などといった、伝え方の「7つの切り口」もそうですし、今回の『伝え方が9割(2)』でも、新しい技術を伝えていますよね?この通りに実践すれば、誰もが練習次第でできるようになるというのが素晴らしい。…今、「ゴゴスマ」っていうTV番組にコメンテーターとして出させていただいていて、主婦の方の悩みに答える機会があるんです。夫や子どもなどに対する悩みに対して、僕は「相手の気持ちはおそらくこうだから、こんなふうに働きかけてはどうですか?」と心理的なメカニズムで話をするのですが、そんなときいつも「ここに佐々木さんがいて、具体的に伝え方を話してくれたら最強だな」と思っています。
佐々木 やりたいですね、それ。TV局の方、これをご覧になっていたら是非(笑)。
坪田 でも、『伝え方が9割』を出すときは、不安はありませんでしたか?手の内を全部明かすわけですものね。
佐々木 実際、この技術でコピーを考えてきたので、モロバレですよ(笑)。実は初めは暗い気持ちにもなりました。「この本で、みんながうまいコピーを考えるようになって、仕事が来なくなったらどうしよう」って。でも、「世の中が良くなるキッカケになるならいいや」と決断したのですが、結果的には逆にいろいろなチャンスをいただけるようになって。
坪田 『伝え方が9割』を最初に読んだとき、実は「悔しい!」と思ったんですよ。「7つの切り口」なんて、自分も全部使っていた方法じゃないか、なんで自分に体系化ができなかったのかと。例えば、勉強があまり好きではない子に「10日で数学の練習問題をやるのと、2週間かけて英語の練習問題をやるの、どっちがいい?」などと伝えていますが、これって佐々木さんが言う「選択の自由」ですものね。1つを提示すると答えは「やる・やらない」になるけれど、2つ以上を提示すると、「どちらから選ぼうか」という心理になると。「じゃあ苦手な数学よりも、英語をやろうかな」と思ってもらえる。
佐々木 選んじゃいますね、どちらかを。
坪田 本にも書いたエピソードですが、計画の3分の1しか勉強してこなかった子に「なんでやってこなかったんだ」と怒るのではなく、僕は「嬉しいわ~」と言う。「1年で現役合格するためにこの計画を立てたんだけど、君の歩みは3分の1でしょう?ということは、何倍かかるってこと?」と聞くと、「3倍」と答える。「だよね?ということは、君は3年間僕と一緒に過ごしたくてこっちを選んでいるんでしょ?ありがとね!」って。すると、相手は「いやいやいや!じゃ、明日からやる!」となる。自分ながらいいやり方だなと思っていたんですが、『伝え方が9割』を読んで、自分には体系化できていなかったわ~!と気付かされました。悔しい本です。
佐々木 ナチュラルにできてしまうんですから、坪田さんは天才だってことですよ。それに、僕は坪田さんの本に泣かされましたからね。技術だけでなく、気持ちを動かす圧倒的なストーリーがある。『伝え方が9割』の世界を、もっと気持ちで理解したいという人は、ぜひ『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』を読んでいただければ。
坪田 もう、佐々木さんの方が全然いい人じゃないですか!敵いませんわ(笑)。
佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。アジア初、6ヵ国歌姫プロジェクト(アジエンス)。カンヌ国際クリエイティブアワードでシルバー賞他計3つ獲得、AdFestでゴールド賞2つ獲得、など国内外51のアワードを獲得。郷ひろみ・Chemistryの作詞家としてアルバム・オリコン1位を2度獲得。twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp